2024年介護報酬改定 通所介護の新設加算解説

2024.10.28

令和6年度介護報酬改定における改定事項については、全体で125項目もありました。全サービス共通の改定項目としては、「人員配置基準における両立支援への配慮」「管理者の責務及び兼務範囲の明確化等」「いわゆるローカルルールについて」「『書面掲示』規制の見直し」などがありました。同様に、LIFE関係の改定や介護職員の処遇改善加算の改定などの大きな改定もありました。また、通所介護固有の改訂では、「豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化」・「通所介護、地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和及び評価の見直し」・「通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化」などがありましたが、今回は報酬上「新規加算(減算)」となったものについて、改めて確認していきたいと思います。ただ、通所介護においては、残念ながら新規加算はなく、減算のみとなります。

通所介護の新設加算概要

通所介護は、全体で15項目の見直し項目がありました。これは、施設・入居系や医療系サービスと比べてかなり小幅な改定となりました。また基本報酬単位数の改定としても、0.49%のプラスということで、非常に小幅な改定率となりました。今回2024年の改定が医療との連携が重視された中では、通所介護においてはこれまでの課題整理と次への検討課題への対応のみでまとめられた感じが否めません。しかし、収入のための単位の獲得や減収を抑えるためには、決して今回後ほど説明する体制整備について減算されないことと、今回説明はありませんが、通所介護特有の「入浴介助加算」や「個別機能訓練加算の人員」等のオペレーションにかかる要件変更などをしっかりと行い、早期に収益体制を確保していくということが非常に重要です。

さて、15項目のうち減算にかかる改定については、以下の通りです。

  • 業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入(業務継続計画未実施減算)
  • 高齢者虐待防止の推進(高齢者虐待防止措置未実施減算)

各新設加算・減算の詳細

業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入(業務継続計画未実施減算)

単位は以下のとおりです。

所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算(新設)

前回の令和3年度の介護報酬改定の時から猶予期間とされていましたが、感染症や災害が発生しても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を整えるために、業務継続計画の策定を徹底することが義務化されました。もし感染症または災害、またはその両方に対する業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算されることになりました。

要件としては、次の基準を満たしていない場合について減算されます。

  • 感染症や非常災害が発生したときに、利用者へのサービス提供を継続し、非常時の体制で早期に業務を再開するための計画(業務継続計画)を策定すること。
  • この業務継続計画に基づいて、必要な措置を講じること。

「必要な措置を講じること」とは、委員会の設置や方針、研修・シミュレーション・訓練・計画の見直しといったBCMが整っていないことです。ただ、令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しないとされています。早期の体制整備が必要です。特に、小規模事業所や単体の事業所などは、努力義務である地域住民などとの連携や、地域の他法人(特に社会福祉法人や大規模法人)との連携などBCMが実行できる体制整備などを実態に合わせた具体的な働きかけが必要となると思われます。

高齢者虐待防止の推進(高齢者虐待防止措置未実施減算)

単位は以下のとおりです。

所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算(新設)

利用者の人権を守り、虐待を防ぐために、虐待発生や再発防止のための措置を講じることが求められました。これには、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めることが含まれます。施設におけるストレス対策を含む高齢者虐待防止の取り組み例を集め、周知を図ることが求められました。また、国の補助を受けて都道府県が実施している事業において、ハラスメントやストレス対策に関する研修を実施できるようにしました。この事業の相談窓口は、高齢者本人や家族だけでなく、介護職員も利用できることを明確にし、高齢者虐待防止の施策を充実させることとしました。

要件としては、虐待の発生や再発を防止するため、以下のような措置が講じられていない場合について減算されることとなりました。

  • 虐待防止対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果を従業者にしっかりと知らせること。(テレビ電話などを活用して開催することも可能。)
  • 虐待防止のための指針を整備すること。
  • 従業者に対して、虐待防止のための研修を定期的に実施すること。
  • 上記の措置を適切に行うための担当者を配置すること。

通所介護に求められる今後の運営方針

上記のとおり、今回は新規加算についてはありませんでした。これは非常に重要な課題であると考えられます。その分、オペレーションの変更など算定要件の変更が大きくありました。オペレーションの変更に対応出来ず、これまで算定していた加算が取れないなどあっては、次回以降の報酬改定の中でも新規加算の創設などは期待できません。しっかりと、運営上負担の増えた研修や業務などの部分についても実行体制を早期に整備し、単位を取りこぼさないことが重要です。また、新たに減算となる2つの項目については、決して減算されることの無いようしっかりと体制整備をすることが重要です。今後機会があれば、オペレーション変更にかかる部分についてもご説明できたらと思います。

神内 秀之介 氏

ふくしのよろずや神内商店合同会社 代表社員

様々な公職や現場での20年以上の経験から、介護経営のコンサルタント顧問契約。
経営者・理事長の経営参謀として、業務効率化から利用者・入居者獲得まで、様々なふくしやふくしみたいな経営のアドバイスを行なっています。

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