第5回 初めての目標管理

2025.05.19
神田靖美の基礎から解説!人事評価制度

前回まで、評価そのものに関する基礎知識と、いろいろな評価方法についてお話してきました。今回から、筆者が一番お勧めする評価方法である目標管理についてお話しします。

目標管理とは何か

目標管理とは、ひとことで言えば、目標の達成度で評価する手法です。正しくは「目標と自己統制によるマネジメント」と言います。単に目標の達成度で評価するだけでなく、いったん目標を与えたら、上司が部下に細かいことまでいちいち指示するのではなく、達成の方法や時間の配分は自分で考えてもらうことも特徴のひとつです。

マネジメントは「管理」と訳されていますが、目標管理でいう管理は日本語で通常使われる意味、つまり取り仕切るとか、操るとかいうこととは違います。マネジメント論の嚆矢である経営学者スティーブン・P・ロビンスは、マネジメントを「効率的かつ効果的に目的を達成するためのプロセス」と定義しています。目標管理における管理もこのことを意味します。目標管理はけっして、働く人を人形のように操るシステムではありません。

単に目標の達成率で評価するということになると、容易な目標を立てる行動が起こりますが、そうならない仕組みもあります。

目標は通常、個人が自由に立てるものです。しかし働く人が目標を自由に立てていては、企業は成り立ちません。この問題に対する答もあります。

なお、管理という言葉が働く人から嫌がられるので、目標管理をやっている会社では、英語でいう場合の頭文字をとってMBOと呼ぶのが一般的です。このコラムでも、以後はMBOという言葉を使います。

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神田靖美

神田 靖美 氏

リザルト株式会社 代表取締役

人事制度のコンサルティング会社・リザルト株式会社代表。介護事業所を始め中小企業の人事制度づくりに従事。現在、『高齢者住宅新聞』に『今こそ知りたい介護分野の賃金・評価制度』などを連載中。上智大学経済学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科MBAコース修了。

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