第6回 目標管理による評価
2025.06.16
前回は目標管理とは何か、そのメリットとデメリットについてお話ししました。今回は人事評価制度としての、目標管理のしくみについてお話しします。
目標管理と呼ぶための条件
単に目標の達成率で評価していれば目標管理と呼べるわけではなく、そのためにはいくつかの条件があります。目標管理研究の嚆矢である奥野明子は、目標管理のことを次のとおり定義しています(『目標管理のコンティンジェンシー・アプローチ』、2004、白桃書房、引用者が若干表現を変えています)。
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全社目標から個人目標までの、目標の連鎖体系が成り立っている
全社目標にあることは必ずどこかの部門が部門目標とし、部門目標にあることは必ず部内の誰かが個人目標にします。 -
上司と部下が話し合い、双方が合意する目標を設定する
そのことを部の目標にすることについて、部下に理解してもらいます。 -
目標は明確であり、時限的であり、目標管理シートに記述される
「・・・を適切に行う」だとか「・・・に全力を尽くす」だとかいう目標はあいまいで、それこそ不適切です。
何を、いつまでに、どれだけやるかを明確に示します。
これらのことを紙や電子ファイルに記録せずに管理することは困難ないので、目標管理シートに記載します。 -
上司は部下を放任するのではなく、支援する
目標管理の正式な名前は「目標と自己統制による管理」です。
上司は仕事の進め方について部下に逐一詳細な指示を与えるのではなく、自己統制に委ねます。
しかし放任するわけではなく、支援します。 -
一定の期間ごとに上司と部下の面談を行い、達成度を確認する
目標設定、中間集計、業績評価などの節目では、上司が一方的に目標や達成率を決めてしまうのではなく、本人と面接で確認して決定します。
神田 靖美 氏
リザルト株式会社 代表取締役
人事制度のコンサルティング会社・リザルト株式会社代表。介護事業所を始め中小企業の人事制度づくりに従事。現在、『高齢者住宅新聞』に『今こそ知りたい介護分野の賃金・評価制度』などを連載中。上智大学経済学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科MBAコース修了。