第9回 個人目標の立て方
目標管理における目標と一般的な目標の違い
「目標」という言葉から、「○○大学合格」や「○○大会出場」「○○キロ痩せる」というものを連想する方が多いのではないでしょうか。教育心理学者の鹿毛雅治は目標を「人が成し遂げようと努力する最終段階について、心の中に主観的に思い浮かべる具体的なイメージ」と定義しています。特定の大学に合格することや、スポーツの上位大会に進出することは、まさにこの定義に一致します。
たとえばサッカーをするとき、趣味で嗜む程度ならともかく、部活動やクラブチームでやっている人が、単に「うまくなりたい。うまくなりさえすれば、他はどうでも良い」と言う姿勢で練習することはありません。必ず「レギュラーになる」とか「全国大会に出る」とかいうように、最終的にここまで到達したいというものを持ってやるはずです。これが目標です。
目標は通常、自分で決めます。親が「全国大会はダメだ。県大会を目標にしなさい」ということはありません。
これが一般的な目標です。しかし目標管理における個人目標(個人単位で追求する目標)はそうではありません。目標管理における個人目標は、全社目標を個人に切り分けたものであり、個人が自由に設定するものではありません。このことを理解してもらうことが、個人目標を設定するときの第一歩です。そうしなければ「人の目標を会社が決めるのはおかしい」「そんな目標は無理だ」というクレームの大合唱になってしまいます。
神田 靖美 氏
リザルト株式会社 代表取締役
人事制度のコンサルティング会社・リザルト株式会社代表。介護事業所を始め中小企業の人事制度づくりに従事。現在、『高齢者住宅新聞』に『今こそ知りたい介護分野の賃金・評価制度』などを連載中。上智大学経済学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科MBAコース修了。