令和5年度最重要ポイントは何か (3)
【第三回】急増する運営指導とコロナ特例の見直し
5月8日のコロナの五類移行を踏まえて、運営指導の通知が全国的に急増しています。コロナ禍が長期化したことから、従来は2年から3年毎に運営指導が入っていた介護保険施設においても、5年、6年にわたって一度も運営指導が入っていない施設が増えています。問題となるのは、運営指導の間隔が、5年、6年と実施期間が大きく開いていることにあります。この間に介護保険制度も介護報酬も変わっています。コロナ禍の影響で、集団指導はオンラインでの実施となり、セミナーの開催も大きく減少しました。それ以上に、外部研修やセミナーへの参加を禁止する施設が相次いだために、制度改正などの情報を得る機会が少なくなっています。その結果、職員レベルで対応出来ていない介護施設が増えています。さらに、担当者が変更となったり、退職したりしている場合、後任の担当者にまったく引継ぎがされていないケースも多く見かけるようになっているのです。「この加算を取っていることを知らなかった。」「必要な集計作業を誰が行っているかわからない。」「過去の計画や記録がどこに保管されているかわからない。」このような言葉が現場の職員から聞こえてきます。このような状況で、介護施設に運営指導が入ったらどうなるでしょうか。実際に多額の返還指導となった施設もあります。この根本的な原因を探っていくと、介護施設内に業務マニュアルなどが整備されていない状況に行き着きます。担当者の移動や退職で十分な引継ぎがされず、後任者も正しい業務手順を把握できない状況に陥り、今の手順が誤りである事の認識も無いまま時間が進んでいる介護施設を多く見かけます。運営指導対策は、日常において職員の疑問を無くすことが基本となります。そうすることで、自信を持った当日の受け答えが可能となります。実際には、細かくチェックされると困る事案も、自信を持って返答することで、それ以上の突っ込みが無くなります。
また、令和2年度以降はコロナ禍特例措置などもあって、法令の解釈での複雑さが更に増しています。コロナ禍特例措置を使っている場合は、その根拠となる記録が特に重要となるために、再チェックをしておくべきです。特例はあくまでも特例であって本来の基準ではありません。しかし、特別措置の長期化によって慢性化し、都合の良い解釈や拡大解釈を行っていないでしょうか。受講が義務化されている研修等を、コロナ禍を理由に参加しなかったり、加算の算定要件で必要な定期的な居宅訪問などを行っていなかったりするケースが見受けられます。しかし、これらの特例は実施しなくても良いのでは無く、やむを得ない場合にのみ認められることを再認識すべきです。この件を指摘されての介護報酬の返還指導が増えています。さらに、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の算定要件が毎年のように変わっています。従来とは算定要件が大きく異なるため、今一度の再確認が必要となっています。
そのコロナ禍特例も、コロナの五類移行に伴って廃止の方向が示されました。コロナの影響で自宅を訪問できない場合も、連携にかかる加算が算定可能。感染対策としてサービス提供を短時間とした場合に、最短時間の報酬が算定可能。安否確認や、療養指導等を、電話で行った場合も報酬が算定可能。 ケアプランで予定されていたサービス提供が行われない場合でも居宅介護支援費が算定可能。と言った特例措置が終了します。通所系の事業所が休業となった際に、代替として訪問でのサービスを提供した場合に通所サービスと同等の報酬を算定可能とする特例は当面の間、継続されます。 将来の運営指導で報酬返還や行政処分にならないために、この部分は、しっかりと確認する事が重要です。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001091874.pdf
小濱 道博氏
小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問
日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。