令和6年介護保険法改正(1)

2023.06.07

令和5年5月12日、通常国会に於いて、令和6年介護保険法が成立しました。今回は、この改正内容を検証して行きます。新型の複合型サービスについては、前月のコラムをご覧ください。

【第1回】居宅介護支援事業所への介護予防支援指定

地域包括支援センターの役割において、令和3年度からスタートした重層的支援体制整備事業による8050問題の相談窓口など、総合相談支援機能が強化されました。地域包括支援センターといえども、介護業界に慢性化している人材不足は避けられず、業務の拡大傾向は大きな負担になっていました。そこで、他に移行できる業務を検討した結果、予防ケアプランがその対象となったのです。この点については、令和3年度改正時にも論点として議論されましたが、地域包括支援センターが一括して管理すべきとの意見が多く出されて、介護報酬改定時に委託連携加算が(初回のみ300単位)が創設されるに留まった経緯がありました。

これまで予防ケアプランは、地域包括で受注して地域の居宅介護支援事業所に外部委託しているのが現状でした。令和6年度からは、介護予防支援について居宅介護支援事業所支援に指定を拡大して、居宅介護支援事業所が、直接予防ケアプランを受注できることになります。これまで、予防プランについては外部委託がなかなか進まない現実があったのは周知の事実です。介護報酬が安いことも理由の一つです。要介護ケアプランも予防ケアプランも、必要なケアマネジメントプロセスは全く変わりません。しかし、予防ケアプランでは、利用者、ケアマネジャー、担当事業者、地域包括支援センターが関わるため、手間数が想像以上に多くあります。特定事業所加算を算定する居宅介護支援事業所にとっては、予防ケアプランの報酬は3分の1程度となり、まったく収支が合わないのです。そのため、予防ケアプランを受けないという選択がなされていました。

また、現在の外部委託制度においては、税金の問題も存在しています。介護サービスは、消費税については非課税ですが、居宅介護支援事業所が地域包括支援センターから外部委託を受けると介護サービスの扱いにはならないのです。そのため、消費税の課税対象の扱いとなり、法人の年間課税収入が1000万を超えると消費税の課税事業者となってしまいます。実際に、税務署の調査で指摘されて、消費税が追徴された事例があります。同様に、社会福祉法人等については、収益事業とする指摘も出ていました。この点については、その事を知らない介護事業者や会計事務所も多く存在しています。今回の改正において、居宅が介護予防支援の指定を受けることで、介護サービスとしての消費税の扱いとなり、消費税の課税の問題や収益事業の問題が無くなり、受注するメリットが出てくると言えるでしょう。これまで地域包括支援センターに支払っていた手数料も掛かりません。しかしながら、実際の業務手続や、すでに地域包括支援センターが契約している既存の予防ケアプランを居宅介護支援事業所に譲渡するのか、新規契約のみ居宅介護支援事業が契約するのか、などの実務的な問題については、今後の通知やQ&Aを待つことになります。

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。