介護保険法とは何か。その改正の歴史 (1)

2023.07.05

令和6年5月12日、通常国会で令和6年介護保険法案が成立しました。今回は、介護保険法の基礎知識と、その改正の歴史を振り返っていきます。 

第1回】介護保険法とは 

介護保険法は、1997年12月に国会で成立し、2000年4月から施行されました。介護や支援が必要な人々に対して、介護や介護予防に要した費用の一部を給付する制度を定めた法律で。介護保険法によるサービスは、居宅サービス、施設サービス、および地域密着サービスの3種類に分類されます。居宅サービスは、自宅での介護を支援するサービスであり、施設サービスは介護施設でのサービスを提供します。また、地域密着サービスは、地域での生活を支援するためのサービスで。介護保険法では、40歳以上のすべての人が被保険者となります。被保険者は、要介護度や要支援度の認定を受け定められた負担割合で介護や支援サービスを利用することが出来ます。介護保険の自己負担額は基本的には1割ですが、所得によって2割3割の負担が設けられています。 

 

介護保険法ができた背景・目的 

介護保険法は、加齢に伴って生ずる心身の変化により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事などの介護、機能訓練、看護、療養上の管理などの医療を必要とする人々に対して、尊厳を保持したまま適切な支援とサービスを提供することを目的としています。介護保険制度の背景には、高齢化が進む中で増加する要介護状態の人々への適切なケアや支援の必要性がありまし。2000年に施行された介護保険法は、高齢化に伴って増加する社会保障費の財政圧迫や、バブル経済崩壊による税収の減少といった課題解決が背景にあります。介護保険法の制定によって、適切な介護や支援の提供を行いながら、社会全体で負担を分担し、持続可能な制度を構築する方向が明確になりまし。介護保険法の目的は、介護や支援が必要な人々が自立した日常生活を送ることができるようになることで。この目的を実現するために、市町村や特別区が保健医療サービスや福祉サービスを提供し、介護保険制度を運営しています介護保険法は要介護状態の人々に対して尊厳を保持したまま適切な介護や支援を提供することを目的としていて、高齢化に伴う財政課題や自立支援の必要性を背景に制定されました。介護保険制度は、市町村や特別区によって保健医療サービスや福祉サービスの提供が行われ、高齢者がその能力に応じて、自立した日常生活を送ることを支援しています 

 

介護保険法と老人福祉法との違い

介護保険法と老人福祉法は、どちらも日本の高齢者福祉を担当する法律でが、それぞれ異なる目的と対象を有しています。老人福祉法は、高齢者福祉を担当する機関や施設、事業に関するルールについて定めた法律で。この法律は、都道府県と市区町村に対して老人福祉計画の作成を義務付け、老人福祉施設や老人居宅生活支援事業(在宅福祉事業)などについて規定しています老人福祉法は、高齢者福祉の施策やサービスの提供体制を整えることを目的としていて、有料老人ホームもその対象となっています 

一方、介護保険法は、介護が必要となった高齢者とその家族を社会全体で支えていくための制度を定めた法律で。介護保険制度は、要介護状態となった人々に対して介護や支援を提供し、その費用を一部給付する仕組みで介護保険法の目的は、高齢者が自立した日常生活を送ることができるように支援することであり、介護施設や在宅介護事業の整備が進められまし。老人福祉法は高齢者福祉の機関や施設、事業に関するルールについて定めた法律で、介護保険法は介護が必要な高齢者とその家族を支えるための制度を定めた法律で。両者はそれぞれ異なる目的と対象を持ちながら、高齢者福祉の施策やサービスの整備を補完しあっています 

 

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。