介護保険法とは何か。その改正の歴史 (2)

2023.07.12

【第2回】 介護保険法に基づく介護保険制度

介護保険法に基づく介護保険制度は、高齢者や介護が必要な人々を社会全体で支えるための制度で 介護保険法は、1997年12月に公布され、制度自体は2000年4月から施行されました。この制度では、国民が負担する保険料や税金を財源として、介護を必要とする人々に給付が行われています 

介護保険制度の目的は、介護保険法第1条に記載されており、介護が必要な状態になったとしても、自立した日常生活を継続できるようにすることが明記されました。その実現のため、保険・医療・福祉が一体となり、安心できる介護サービスが提供されています介護保険制度では、介護保険法に基づいて給付の負担額や施設運営の基準など、具体的な決まりが施行令や施行規範で細かく定められています また、介護保険法は定期的に改正されており、最近の改正は2021年に行われました。 2021年の改正では、介護保険料支払い開始年齢の引き下げや居宅介護支援の自己負担割合の導入などが行われました。 また、2024年の改正では介護報酬改定や診療報酬の同時改定が予定されています 

 

介護保険法が3年で改正される理由 

介護保険法は、高齢者介護の現状を踏まえ、社会のニーズに合わせた制度とするために3年ごとに改正されています。高齢者の介護や介護サービスの需要は日々変化しており、社会のニーズに柔軟に対応するために定期的な見直しが行われる必要があるからですしかし、介護報酬改定と異なり、大規模な改正となる事は希で、微調整の改正となることが殆どで 

 

これまでの介護保険法改正 

2006年度の改正 

2006に介護保険法の施行後初めての改正が行われました。2005年介護保険法改正は、高齢社会の課題への対応や介護保険制度の充実を目指したもので介護保険制度改正の目的は、「高齢社会における課題への対応」「高齢者の自立と地域包括ケアの推進」「適切かつ公平な保険給付の実現」など。具体的な改正内容は、介護予防・リハビリテーションの推進、中重度者への支援の充実、認知症ケアの充実などが改正されていますまた、新たな介護サービスとして、小規模多機能型居宅介護が創設されました。 

 

2009年度の改正 

2009年介護保険法改正、介護保険法の施行令が改正されまし主な改正内容は、大手介護サービス事業者(コムスン)における介護報酬の不正請求問題を受けて、介護サービス事業者に法令順守や業務管理体制の整備が義務付けられました。これにより、介護サービスの質の向上と公正な運営を促すための措置が取られたのです 

 

2012年度の改正 

2012年介護保険法改正、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」として行われました。この改正の目的は、介護サービスの基盤強化と地域包括ケアシステムの強化による高齢者の生活支援の充実を図ることでした2012年4月から、新たな介護サービスとして、定期巡回随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護が創設されました。 

 

2015年度の改正 

2015介護保険法改正は、2008年に福田内閣が設置した社会保障国民会議の報告に基づき、同年12月に「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム」が閣議決定されたことに端を発しています。この改正は、社会保障制度の持続可能性と財源の確保を目指すものした予防訪問介護、予防通所介護の2つのサービスが、地域支援事業に移行となりました現在の第一号訪問事業と第一号通所事業です。また、定員18人以下の小規模デイサービスは、地域密着型に移行となっています 

 

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。