LIFEのフィードバック活用(1)

2023.09.06

【第1回】科学的介護推進体制加算は主食、他の加算はトッピング 

LIFEのフィードバックは、6月30日より事業所別、利用者別、加算別フィードバック票の提供がスタートしました。これによって、加算算定の為には、本格的にフィードバックの活用が必要となりました。そうした中で、科学的介護推進体制加算を算定せずに、個別機能訓練加算やリハビリテーション・マネジメント加算など、その他のLIFE関連加算のみ算定している介護施設もあります。残念ながら、これではLIFEを十分に活用する事が出来ません。科学的介護推進体制加算はメインディッシュ、他の加算はトッピングの関係にあるからです。メインディッシュだけで十分に美味しいのですが、トッピングを加えることで更に美味しさが増すのです。しかし、トッピングだけを食べても十分な満足感は得られないでしょう。小規模多機能型やグループホームには科学的介護推進体制加算の設定しかありませんが、これだけでも十分なのです。 

個別機能訓練加算やリハビリテーション・マネジメント加算のLIFE提供で得られるフィードバック票は、ADLとIADLに限られます。この2つの評価指標だけであれば、何もLIFEを使う必要も無いでしょう。さらに、科学的介護推進体制加算の評価指標にADLも提供されています。ここではデータが重複してしまうことになります。では、科学的介護推進体制加算を取っていれば、個別機能訓練加算やリハビリテーション・マネジメント加算でのLIFEへの提出は不要かと言えば、そうではありません。それらの加算を算定する事で、IADLの評価指標が追加されて、更に活用を深掘りできることになります。リハビリテーションの成果を得るためには、ADLやIADLの推移だけを検討するのではなく、栄養改善や口腔ケア等の幅広い情報を活用して、原因分析や解決策を検討する必要があります。 

このように、LIFE関連加算の位置づけは、基本ベースに科学的介護推進体制加算があって、そこに他のLIFE加算を上乗せすることで評価指標が増えて、分析範囲が拡がるという関係になっているのです。 

また、リハビリテーション・マネジメント加算などでは、提出項目に必須項目と任意項目が設けられています。必須項目だけでも十分なのですが、任意項目を提出することで、フィードバック票に反映される項目が増えて、さらに広範囲に分析が可能となります。しかしながら、LIFE提出データを手入力されている場合は必須項目に留めておくべきでしょう。事務負担が増えるからです。介護記録ソフトを活用されているならば、是非、任意項目の提出も検討されてください。いずれの場合も、LIFEに求めるものが何かと言う点がポイントになるでしょう。  

今、令和6年度介護報酬の改定審議が進められています。前回の令和3年度介護報酬改定に於いては、リハビリテーション・機能訓練、口腔ケア、栄養改善に関連する創設加算のすべての算定要件に、LIFEへのデータ提出と活用が組み込まれました。このことから、今後創設される加算においても、LIFEを活用しないと算定出来なくなる可能性が高いといえます。また、既存の加算についても、今後算定要件にLIFEの活用が組み込まれる可能性もあります。現にADL維持等加算等では算定要件となっています。 

 LIFEの活用は義務ではありません。しかし、LIFEの活用をしないと加算が算定出来なくなりますよ。という方向が明確になっています。そして、活用するからには、単に義務的に行うのでは無く、自らの介護サービスの質の向上に繋がる取組を行うべきです。 

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。