令和6年度介護報酬改定の検証

2024.05.15

【第2回】通所系サービスとLIFE 

1,デイサービス 

デイサービスは、0.44%、地域密着型通所介護は、0.38%のプラスとなりました。また、入浴介助加算Ⅰの算定要件に、入浴介助担当者への入浴技術研修が義務化されたことが大きい変更点です。研修自体は、厚生労働省がビデオ講座と解説書を提供していますので、それを活用すれば足ります。しかし、この算定要件の変更を知らずに従来通りの提供を続けた場合には、運営指導で報酬返還となる事業所が増えるでしょう。また、入浴介助加算Ⅱについては、デイサービス、デイケアともに、介護職員がカメラマン的な立ち位置で居宅訪問が可能となっています。ただし、あくまでもビデオやZOOM中継のカメラマンであって、評価やアドバイスは医師等が行うことに注意すべきです。 

デイサービスの個別機能訓練加算Ⅰ(ロ)の算定要件である、機能訓練指導2名配置かつ1名が常勤専従である旨の要件が廃止となりました。これによって、2名共に機能訓練の時間帯に配置する非常勤配置が可能となりました。同時に、非常勤化で人件費が減少することから、加算単位が減額されました。この変更で、リハ職を手厚く配置してきたリハビリ特化型デイサービスが減収となっています。しかし、それ以上に、常勤専従規定が壁となってⅠ(ロ)の算定が出来なかった事業所が算定可能となりました。この場合には、20単位の増収となります。たとえば、午後から非常勤の療法士が勤務して、常勤で看護職員を配置した場合、この職員を午前中は看護職員、午後は機能訓練指導員とすることで、午後の時間帯は2名体制となってⅠ(ロ)の算定が可能です。 

 

2,デイケア

デイケアは、通常型は0.7%であるが、現行の大規模Ⅰは、大規模型の統合の影響で、-2.8%となっています。これは、大規模ⅠとⅡが統合されて、大規模型となった影響です。大規模型であっても、リハビリテーションマネジメント加算を全体の80%以上算定し、リハ職を10:1の割合で配置した場合、通常型の報酬を算定出来る特例が設けられました。これは、大規模有利の方向が示されたと言えます。また、入院中の利用者が退院後に速やかにサービスが開始出来るための措置が多く盛り込まれました。入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手することが義務化さました。理学療法士等が、医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行ったことを評価する退院後共同指導加算が創設されています。リハビリテーションマネジメント加算に、口腔アセスメント及び栄養アセスメントとLIFE活用を行った場合の新区分が創設されました。また、通所系サービスに於ける送迎においては、共同送迎を認めています。 

 

第239回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
【参考資料1】令和6年度介護報酬改定における改定事項について[5.8MB]

 

 

3,リハビリ、口腔ケア、栄養改善の一体的な提供とLIFE関連加算 

訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションでは、リハビリテーション、口腔ケア、栄養改善の一体的な提供が大きく求められています。LIFEが始まって以来、この一体提供が重要度を増していました。特にリハビリテーションと栄養改善は密接な関係にあります。今後は、リハビリテーションに偏ることなく、口腔ケア、栄養改善への取り組みが急務となっていくでしょう。LIFE関連では、すべての加算のLIFEへの提出頻度が3月に一度に統一されました。また、LIFE自体も4月10日でこれまでのLIFEシステムが終了しています。8月1日から新たなLIFEシステムが稼働します。それまでの4ヶ月間に提出すべきデータは、8月1日から10月10日の間に、遡って提出することとされました。LIFEが使えないとしても、利用者の評価は必要ですので注意が必要です。 

 

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。