介護職員等処遇改善加算の算定要件の最終確認(3)
【第3回】月額賃金改善要件と職場環境等要件の解説
1.月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善)
新加算のどの区分を算定する場合であっても、Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当とすることが必要です。
このとき、賃金総額を新たに増加させる必要はありません。手当又は一時金としている賃金改善の一部を減額して、その分を基本給等に付け替えることで要件を満たします。また、既に要件を満たしている事業所は、新規の取組を行う必要はありません。ただし、新規の基本給等の引上げを行う場合には、その基本給等の引上げはベースアップ(賃金表の改訂により基本給等の水準を一律に引き上げること)により行うことを基本とします。この月額賃金改善要件Ⅰについては、令和6年度中は適用が猶予され、令和7年度からとなります。
2.月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)
令和6年5月31日時点で現に旧処遇改善加算を算定して、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、新規に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合の要件です。令和6年度においては、事業所が仮に旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施しなければなりません。その際の引上げは、ベースアップにより行うことを基本とします。
3.職場環境等要件(令和7年度以降の要件)
令和7年度以降に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合は、以下の通りとなります。(参考:ページ下部資料)
新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合
1:区分ごとに2以上の取組を実施します。
2:生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組のうち3以上の取組(うち⑰又は⑱は必須)を実施します。
3:職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表します。
具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用して、新加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目及びその具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に記載します。制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表します。
新加算Ⅲ又はⅣを算定する場合
1:区分ごとに1以上を実施します。
2:「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2つ以上の取組を実施します。
ただし、生産性向上推進体制加算を算定している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たします。1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たします。
令和6年度の経過措置
上記の職場環境等要件の見直しについては、令和6年度中は適用を猶予されます。
また、新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表しなければなりません。具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用して、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目を「事業所の特色」欄で選択します。当該制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表します。
出典:厚生労働省 介護職員の処遇改善
事務担当者向け・詳細説明資料[830KB]
小濱 道博氏
小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS
介護事業経営研究会 最高顧問
日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。