2024年中の行うべきこと(1)

2024.07.03

【第1回】新たなLIFEシステムがスタートする。

4月10日をもって、旧LIFEが終了しました。8月1日から新LIFEがスタートします。これは、制度が変わったわけでは無く、システム変更が行われることによる切り替え作業のためです。

そのため、5月から7月については、LIFE加算の算定要件であるデータ提供が出来ません。各月の評価作業は必須であるために実施する必要があります。提出待ちのデータは、8月1日から10月10日までの間で遡って提供することとなります。

また、旧LIFEから新LIFEに自動的に引き継がれるデータは、様式情報、事業所情報、端末情報に限られます。職員情報、利用者情報、暗号化キーについては、手作業での移行が必要です。これらのデータの一部は、個人情報であることからの措置です。

そのため、旧LIFEシステムのホーム画面から、個人情報入出力画面に移行して、介護サービス利用者データのバックアップを作成してダウンロードして、新LIFEにログインして取り込む作業が必要です。この作業は、遅くても7月30日までに終了する必要があります。それを実行しない場合には、8月1日以降に新LIFEを開いても利用者情報が真っ新で、改めて登録作業が強いられます。

また、新たなフィードバック票のサンプルも公開されました。これまでのフィードバック票は、全国平均との比較のみで、地域特性が反映されていないという批判がありました。

また、事業規模なども一律の集計のため、自施設の的確な比較対象とは言えませんでした。新たなサンプルでは、事業所フィードバックについては、都道府県、事業所規模、平均要介護度の各項目を設定できます。利用者フィードバックについても、都道府県、要介護度、日常生活自立度(身体機能と認知機能)の設定が出来るようになりました。旧LIFEの時も、サンプル通りのフィードバック票が提供されてはいません。そのため、様式や機能などの変更は十分に考えられます。しかし、このサンプルを見る限り、格段に使えるフィードバック票に仕上がっていると思われます。この新たなフィードバックの提供は10月以降とされています。

ここで問題となるのは、今後の運営指導で指導対象になることです。この3年間において、旧LIFEは使い物になりませんでした。そのため、運営指導においても、ほぼノータッチだったのです。

これは、昨年末に、某市の介護保険課長とご一緒したときに、担当課長が言っていたことです。新LIFEが使えるようになると、確実に運営指導の指導対象となります。多くの加算には、LIFEの活用が算定要件として位置づけられています。今後は、LIFEフィードバックの活用記録が重要となってくるでしょう。

LIFEが始まって3年間、フィードバック票が不十分であったことを理由に、LIFEにデータを提出するのみでした。単に加算だけ算定するケースが大部分だったのです。問題は、利用者に加算として費用を負担させながら、何も利用者に還元して来なかったことにあります。新たなフィードバック票の提供が始まった時点から、その言い訳は通じないことになります。

令和6年度介護報酬改定では、期待された訪問サービスと居宅介護支援へのLIFE加算の創設が見送られました。その要因の一つに、今回のシステム変更があったと思われます。そうであれば、次回令和9年度改定において満を持して、訪問サービスと居宅介護支援へのLIFE加算が創設されるでしょう。

そのとき、LIFEは新しい次元に向かうのではないでしょうか。まずは、期待して新しいフィードバック票の提供を待ちたいと思います。そこに、大きな可能性を感じます。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報vol.1278(令和6年度報酬改定に対応した「科学的介護情報システム(LIFE)」の稼働に係る周知について)

事務担当者向け・詳細説明資料

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。