2024年中の行うべきこと(4)
【第四回】総合事業の変更点の検証〜第一号事業に於ける変更ポイント
令和6年度介護報酬改定において、第一号通所事業では、予防通所リハビリテーション同様に、運動機能向上加算が廃止され、基本報酬に包括されました。同時に、選択的サービス複数実施加算が一体的サービス提供加算となりました。この加算は、栄養改善加算と口腔機能向上加算の要件を満たした上で、2つの加算に変えて算定出来ることになっています。
指定相当通所型サービスの基本報酬には、入浴介助及び運動器機能向上サービスの実施に係る費用が包括評価されています。その利用者が可能な限りその居宅において、自立した日常生活を営むことができるのが目的です。必要な日常生活上の支援及び機能訓練を行うことによって利用者の心身の機能の維持回復を図り、利用者の生活機能の維持又は向上を目指すものです。サービスの実施に当たっては以下の点に留意しなければなりません。
① 入浴介助は、利用者自身で又は家族等の介助によって入浴ができるようになることを目的として行う。この際、利用者の状態や、当該利用者が日頃利用する浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を確認し、これを踏まえて、利用者が日頃利用する浴室に近い環境で行うことが望ましい。
② 運動器機能向上サービスは、専従の機能訓練指導員を1名以上配置して、国内外の文献等において介護予防の観点から有効性が確認されている手法等を用いて行うこと。
また、送迎は、外部委託が可能となりました。この場合、送迎を行わない場合の減算の適用はありません。委託費の額は、送迎を行わない場合の減算の額を踏まえて、事業者と委託先との間の契約に基づき決定されます。この他、利用者の送迎を事業者以外の者に担わせる場合は、事業者が送迎を実施していないために、当然に本減算が適用されます。
複数の要支援者等がいる世帯で、同一時間帯に訪問型サービスを利用した場合には、それぞれに標準的な所要時間を見込んで介護予防サービス計画に位置づけます。この扱いは、要介護者と要支援者等がいる世帯において同一時間帯に訪問介護及び訪問型サービスを利用した場合も同様です。指定相当訪問型サービスは、利用者が可能な限りその居宅において、自立した日常生活を営むことができるように、入浴、排せつ、食事の介護その他の生活全般にわたる支援を行って、利用者の心身機能の維持回復を図って、利用者の生活機能の維持又は向上を目指すものです。特に生活援助中心型の単位数を算定する場合は、要支援者等のできることを阻害することのないよう留意しなければなりません。また、介護報酬の訪問介護同様に、口腔連携強化加算と同一建物減算に12%の区分が創設されています。介護職員等処遇改善加算の取扱も同様に創設されています。
市町村は、従前相当サービスとしての第一号事業費の額を別に定めることも可能です。この場合は、報酬告示に定める単位数の変更(単位数の引上げを含む。)のみが可能です。加算や減算の設定を行うことはできません。指定事業者に対して市町村独自の評価を行う場合には、委託費を支払う等の方法によります。例えば、訪問型サービス費について、地域の事業所が小規模である場合や、利用者が限られる場合等には、基本報酬の単位数を引き上げることが出来ます。また、通所型サービス費については、運動器機能向上加算が廃止されましたが、改正前後の単位数の差と廃止される前の運動器機能向上加算の単位数を踏まえて、基本報酬の単位数を適切な範囲で引き上げることも可能です。従前相当サービス以外の事業に係る第一号事業支給費の額については、単位数の変更、報酬告示に定めのない加算や減算の設定等、市町村による柔軟な設定が可能です。また、各サービスに介護報酬同様、高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算が創設されました。
以上のように、今回の報酬改定では、第一号事業については介護報酬同様の変更点が盛り込まれています。
小濱 道博氏
小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS
介護事業経営研究会 最高顧問
日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。