経営情報提出義務化におけるGビズIDプライムとは何か

2024.10.23

1. 経営情報の提出が義務化、データの提出前にやるべきこと

今年度から、介護サービス事業者経営情報の提出が義務化されました。そのデータの提出前にやるべきことがあります。それは、新しいデータベースシステムのログインのために、GビズIDのアカウントを取得することです。このアカウントの作成と運用方法などは、この秋頃に出される運用マニュアルで通知される予定となっています。

今回、介護事業者側で取得するのは、GビズIDプライムのアカウントです。申請方法は2種類用意されています。一つは、オンラインで取得する方法です。手続きには、法人の代表者のマイナンバーカードと専用のアプリをインストールしたスマートフォン、そしてメールアドレスが必要です。パソコンの画面上で、基本事項を入力し、メールアドレスを登録すると、確認メールが送信されますので、これを認証します。認証後のパソコンの画面に、スマートフォンで読み取るためのQRコードが示されます。このQRコードをスマートフォンのアプリ読み込むと、登録画面が表示されます。その後、マイナンバーカード上にスマートフォンを置いて、マイナンバーカードの情報をスマートフォンで読み込みます。その内容が、パソコンで入力した基本情報と突合されて、認証が完了となります。これで、オンライン審査が完了して、即日にIDとパスワードが発行されます。なお、IDは、登録に使ったメールアドレスとなります。もう一つの方法は、書類を郵送して申請する方法です。印鑑証明と申請書を郵送して、IDとパスワードを取得します。この場合は、2週間以内という時間を要します。オンライン申請については、マイナンバーカードの取扱に慣れていない場合には、時間と手間がかかるかもしれません。

2. GビズIDとは

GビズIDとは何なのでしょうか。このアカウントに登録することで、このGビズIDにつながっている全ての行政サービスで利用できる、統一アカウントです。GビズIDは、今回の財務データの提出だけでは無く、今後の多様な電子申請に使われるアカウントとなる予定です。GビズIDの利用では、現時点で利用料金は掛かりません。また、GビズIDでは、メールアドレスをアカウントで利用するために、メールアドレスは必須です。基本的には24時間、360日稼働します。定期的なメンテナンスが有りますので、その時間帯においては利用できません。現時点では、アカウントの有効期限はありません。ただ今後、アカウントの有効期限を設ける予定とされています。

3. 会計事務所などへの提出委任も可能に

GビズID を使って、届け出業務の外部委任も可能です。受任者は代理で財務情報の申請が可能です。委任者と受任者ともにプライムIDを持つことで、GビズIDのマイページから委任手続きが出来ます。例えば、契約している会計事務所が、財務情報の提出代行が可能です。委任契約をすることで介護事業所が直接に提出するのではなく、会計事務所だったり、他のコンサルタントが提出できる仕組みです。会計事務所の場合は、必ずしも法人ではありません。個人事業主の税理士も多いので、GビズIDでは個人事業主も登録が可能となっています。委託する場合は、事前に会計事務所と取り決めが必要です。ただし、外部委託する場合は別料金が必要となるでしょう。その費用対コストをどう考えるかです。今後は、記帳代行のように専門の代行業者も出てくるでしょう。ここで問題となるのは、提出時期が2025年の1月から3月であるということです。この時期は、会計事務所にとっては、年末調整合計表や償却資産税の提出時期から始まり、2月からの確定申告時期と重なる超繁忙期です。そのため、早い段階で会計事務所サイドが、この財務データの提出に関する情報を早く入手して準備を進めていくことが重要です。

出典:GビズIDホームページ ご利用ガイド

GビズIDクイックマニュアルGビズIDプライム編(オンライン申請)

小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表
株式会社ベストワン 取締役
一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。