第7回:「いつもと違うに気づく力」 ~観察と共有でつなぐ早期対応~

2025.09.10

はじめに

「何か今日はちょっと違う気がする。」

高齢者施設の現場では、この「なんとなくの違和感」が、命を守る第一歩になることがあります。利用者の日常は、私たち職員にとっては当たり前の繰り返しに見えても、実際には小さな変化の積み重ねです。顔色、食欲、声の調子、歩き方、表情...。
どれも「普段」を知っている人だからこそ気づける微妙な変化です。

最初にその変化をキャッチするのは、生活の場をともにしている介護職であることがほとんどです。しかし、「気づき」がそのまま行動や判断につながるとは限りません。
小さな違和感が軽視され、記録だけで終わってしまったり、伝え方があいまいで看護師が拾いきれていなかったりすることも少なくありません。結果として、早期に対応できたはずの状態悪化を招くことがあります。

だからこそ大切なのは、「気づきを共有できる文化」と「看護師がつなぐ力」です。今回は、「いつもと違う」に気づく視点と、それを早期対応へとつなげる多職種連携のポイントを、事例を交えて考えていきます。

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眞鍋 哲子 ​ 氏

看護と介護の想いを繋ぐ会社(株)ONMUSUBI代表取締役
福岡県北九州市出身

看護師として外科、整形外科、内科、精神科などを経験し、その後高齢者施設の看護師として23年間勤務。
生活の中の看護を追求し、チームケアを大切に現場での実践に取り組む。
現在は、全国で施設看護師や介護職、福祉関係職に向けたコンサルテーション、セミナー、執筆活動等を精力的に行っている。