第3回 「映えるネタ」はいらない――日常の"あたりまえ"から、事業所らしさを見つける
第1回では、SNSを始める前に「何のために発信するのか」を整理すること、第2回では、SNS活用によって採用・地域との関係・職員や組織にどのような変化が生まれるのかをお伝えしました。
目的や期待する効果が見えてくると、次に出てくるのが「では、何を投稿すればよいのか」という悩みです。
季節の行事やレクリエーション、食事、利用者との日常。発信できそうな出来事はあるものの、「これを載せても面白くないのでは」「他の事業所と同じような投稿になってしまう」と、手が止まることもあるでしょう。
しかし、SNSで伝えるために、特別なイベントや"映えるネタ"を探し続ける必要はないと、私は考えます。
発信する価値は、日々の仕事の中にあります。大切なのは、日常の出来事にどのような意味を見つけるかです。
「体操をしました」で終わると、少しもったいない
例えば、介護事業所のSNSで、次のような投稿を見かけることがあります。
利用者の皆さんが体操をしている後ろ姿を離れた位置から撮影した写真と共に、「本日は、皆さんで体操を行いました。元気に身体を動かしていました」
ご家族への近況報告や、事業所の活動記録としては、これでも間違いではありません。
ただ、その投稿で事業所の考え方や魅力まで伝えたいのであれば、少しもったいない投稿です。
例えば、同じ体操の場面を利用者と職員の表情の見えるシーンの写真と合わせて、次のように紹介すると、伝わる内容が変わります。
「午後のレクリエーションの時間。ボールを渡すと自然に視線が合い、利用者同士の会話や笑顔が生まれます。身体を動かすことだけでなく、こうした何気ない交流の時間を、私たちは大切にしています」
特別な出来事を付け加えたわけではありません。
「体操をした」という出来事の中から、利用者同士の交流や、それを大切にする事業所の姿勢を見つけ、言葉にしただけです。
同じように見える日常の活動でも、事業所によって大切にしていることは違います。
一人ひとりの体調に合わせて、無理なく参加できることを重視する事業所もあるでしょう。利用者同士の会話が生まれるよう、職員が場をつくっている事業所もあります。体操への参加そのものより、本人がその日の気分で選べることを大切にしている場合もあります。
発信したいのは、「体操を行った」という事実だけではありません。
その場面で職員が何を考え、どのような関わりを大切にしているのか。そこまで伝わると、日常の報告が「その事業所らしさを伝える投稿」に変わります。
次回更新は9月16日(水)
野沢 悠介 氏
株式会社Blanket 取締役 ワークショップデザイナー、国家資格キャリアコンサルタント、 JCDA認定CDA(Career Development Adviser) 立教大学GLP(グローバル・リーダーシップ・プログラム)講師
立教大学コミュニティ福祉学部卒。介護・福祉領域の採用・育成・組織開発を専門とし、「求職者が働きたい・職員が働き続けたい組織づくり」をテーマに、全国の介護・福祉事業者の人材確保や離職防止に取り組む。採用戦略、人事制度設計、理念浸透、育成プログラム開発、研修・ワークショップの企画など、現場に寄り添った幅広い支援を行っている。