認知症の人が安心する言葉かけポイントと実践例

2025.07.28
中核症状編

はじめに

皆さん、こんにちは。今回は「認知症の人が安心する言葉かけ」です。2025年、認知症患者数が700万人を超え、近いうちに高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。皆さんの働いている介護現場でも認知症のある利用者が増えてきていることでしょう。我々介護職員は、しっかりと認知症ケアの教育を受けてきているはずですが、「慣れること」で初心を忘れてしまったり、「わかっているのだけれど」つい否定をしたりイライラしてしまうこともあると思います。忘れてはいけないのは、「一番困っている人」「一番戸惑っている人」は誰かということです。私たちの言葉かけがさらに利用者を混乱させBPSDが収まるどころか激しくなる場合もあり得ます。実際に介護現場でおこなっている言葉かけが「安心できる」言葉かけになっているか一緒に考えてみましょう。

まず認知症の「中核症状」について思い出してみましょう。

「中核症状」とは、脳の器質的変化によって現れる症状です。記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失認、失行、全般性注意障害、視空間認知症障害などが挙げられます。

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​尾渡順子

​尾渡 順子 氏

介護職として働く傍ら、レクや認知症、コミュニケーションに関する研修講師として全国を飛び回る。2014年、アメリカオレゴン州のポートランドコミュニティカレッジにてアクティビティディレクター資格取得。著作にはレクリエーションに関する書籍の他、「介護現場で使えるコミュニケーション便利帖」(翔泳社、2014)「介護で使える言葉がけシーン別実例250」(つちや書店、2017、監修)「認知症の人を元気にする言葉かけ 不安にさせる言葉かけ」(中央法規出版、2022)など多数。