第8回 高齢期の精神疾患編:入浴ができなくなってしまった正子さん
2025.07.25
今回は、高齢者がかかりやすい精神疾患についてです。
高齢者のこころの変化と精神疾患
高齢期では、喪失感や孤独感、心身の機能低下、経済的な問題など、高齢者に特有のストレス要因や環境の変化が重なり、精神疾患を発症しやすくなります。
このコラムでは、認知症やせん妄については割愛します。うつ病は、前々回のコラムでご説明した通り、「気分」と「意欲」が低下し、日常生活に支障をきたす病気です。高齢者の場合、身近な人との死別や子どもの結婚・転居などのライフイベント、また慢性疾患がストレスの引き金になります。喜ばしい出来事であっても、大きな変化はストレスとなります。
さらに、高齢者のうつ病では、気分の落ち込みに加えて、胃の不快感や頭痛などの身体症状が目立つ点が特徴的です。身体的な検査で問題が見つからない、または症状が改善しない場合には、早めに精神科を受診につなげることが重要です。
三幣 千尋 氏
精神保健福祉士、介護支援専門員、相談支援専門員、東京都福祉サービス第三者評価 評価者
埼玉県内の精神科医療機関において、精神保健福祉士、ケアマネジャーとして勤務後、足立福祉事務所で介護扶助適正化を経て、現在は、司法福祉分野での精神保健福祉士としての活動を中心に、都内で居宅支援事業所のケアマネジャーとしても勤務している。
また2018年10月より一般社団法人 埼玉県ケアマネジャー協会の地域支援部の講師として全国で、ケアマネジャー、行政職員、一般企業向けに精神疾患やメンタルヘルス関連の講師を行う。