「介護業界2022年の振り返りと2023年の展望」

2023.01.06

本コラムの連載をはじめて半年になります。いよいよ2022年が終わり2023年を迎えることになります。2022年は大変お世話になりました。今回は、介護業界2022年の振り返りと2023年の展望を示したいと思います。


2022年は、介護業界にとっては多難な1年だったと思います。年初から新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続き、未だ第8波の真っただ中であり、3年の長きにわたるコロナ禍への対応を余儀なくされています。更には2022年の春頃から、物価高騰による事業者の収益環境がいっそう厳しくなり、その影響は現在も続いています。このコロナ禍と物価高騰の状況は、2023年も継続されることが予測されます。


また、2022年は次期介護保険制度改正に向けた介護保険法改正の議論が本格化しました。社会保障審議会介護保険部会において議論され、意見のとりまとめが行われました。しかしながら、利用者の負担割合の対象拡大など、一部の論点は先送りされ、2023年に持ち越されることとなりました。その中でも、要介護1と2の介護保険外しや、ケアプランの有料化については今回の改正では見送られることが決定し、業界全体が安堵をしたところであります。


また加えて、2022年末には介護業界に1つ朗報がもたらされました。12月16日に開催された第5回全世代型社会保障構築本部において、次期報酬改定にいて現在3種類となっている処遇改善関連加算の1本化に向けた検討を行う方針が厚生労働省より示されました。具体的な議論は、2023年3月以降の介護給付費分科会において行われることとなりますが、議論の行方に大きく注目していきたいと思います。


2023年は、いよいよ2024年医療・介護同時報酬改定の議論が本格化することとなります。更には、秋には全体改定率が決定され、年内には改定の見直しの中身もほとんど確定することとなります。3年タームで見直される介護報酬改定において、2023年は介護業界にとって最も大切な1年間となります。


また、コロナ禍の状況についても2023年は大きな状況変化が予測されます。現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症分類として2類相当に位置づけられていますが、今後、インフルエンザと同等の5類相当への引き下げに向けた議論が詰まってくることになると思います。3年の長きにわたったコロナ禍もいよいよ収束に向けた出口戦略が描かれることになります。


大改革が予測される24年改定に向けて2023年は、現場視点による報酬改定が実現されるように業界が一致団結していく必要があります。皆さんも是非、今後の動向をしっかりと確認頂き、24年同時改定・大改革を乗り切ってもらいたいと思います。

 

斉藤 正行氏

・ 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
・ 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
・ 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
・ 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
・ 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
その他、介護関連企業・団体の要職を歴任