介護事業所に対する追加での物価高騰対策が決定
3月22日に政府は、第8回物価・賃金・生活総合対策本部の場で、2兆円を超える追加物価高騰対策を決定致しました。そのうち、7000億円を新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金として8種類の「事業推奨メニュー」に、医療、介護、障害福祉等の現場も盛り込まれることなりました。
介護現場における電気代、ガス代、ガソリン代、食費などの物価高騰による経営への影響は深刻化しつつあります。昨年9月にも、同様の交付金による8種類の「事業推奨メニュー」6000億円を確保頂き、昨年末から今年に入り、各自治体において補助金の形で現場に配布されたところであります。しかしながら、その後も物価高騰の状況は継続しており、今回の交付金は、昨年を1000億円超える規模での追加対策となりました。
この政策決定に際しては、全国介護事業者連盟をはじめとする介護関係団体の多くが連携し、共同での要望活動を、政府・与党・財務省へと丁寧に進めた結果として、実現の運びとなりました。物価高騰による影響は、介護現場のみならず、あらゆる業界や家庭、個人に及んでいますが、他の産業と異なり、介護報酬によって売上価格が固定されている介護業界では、値上げによる利益確保が限定的となってしまうといった背景などを、しっかりと理解頂けたことを嬉しく思います。
この交付金は、この後、速やかに全国の都道府県、市区町村に配分されることとなります。その後、各地方議会において、「事業推奨メニュー」を参考にし、どのような形で、どのような分野に、どのくらいの金額を、いつ配分するかを検討し、決定していくこととなります。従って、皆様の現場に届くまでには、まだ数カ月の期間を要することになると思います。また、前回一部の自治体では、自治体の判断によって、介護分野への配分が行われないケースや、軽微な配分となるケースも存在していました。
3月30日には、全国介護事業者連盟をはじめとする介護関係7団体において、厚生労働省の大西老健局長に要望書を提出し、全国の自治体に対して、しっかりと介護現場に交付金が行き渡るように、事例や通達を発出頂くことをお願いしてまいりました。同時に、今後は、各県支部を通じて、全国の自治体に対して介護現場に不公平感なくきめ細やかに配分されるように要望してまいります。
各自治体からは、1事業所ごとに物価高騰対策が補助金として配分されることになります。補助金の申請受付期間は概ね1カ月程度の期間であることが予測されますので、介護現場の皆さんは、事業所が存在する都道府県及び市区町村からの通達を漏れなく確認し、補助金の申請忘れのないように、この補助金を有効に活用ください。
斉藤 正行氏
・ 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
・ 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
・ 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
・ 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
・ 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
その他、介護関連企業・団体の要職を歴任