新型コロナ5類後の臨時的な取扱いの見直しについて

2023.05.19

令和5年5月8日より新型コロナは、感染症法の位置づけが季節性インフルエンザ等と同様の5類へと移行しました。3年以上の長きにわたったコロナ禍は収束へと向かってまいります。もちろん、新型コロナのウイルスそれ自体が無くなるわけではありませんので、介護現場においては、他の感染症とともに引き続きの対策が必要であることは言うまでもありません。

令和5年4月27日に開催された介護給付費分科会において、新型コロナの影響によって臨時的に認められていた人員基準等の特例ルールの見直しの方向性が示されました。ルールの見直しに際して、2つの考え方が反映されています。1つは、今後も新型コロナの感染者が発生することが予測されることから、その状況化の中でも安定的に介護サービスを提供していく必要があること。2つは、一方で、介護サービスの質・量を適切な水準で確保することが重要であること。この2つを踏まえて、現行の特例ルールを、1.早期に従来通りの運用に戻すものと、2.一定の要件のもと継続するもの、3.当面は継続するものと3つに分類されました。

具体的には、例えば、全サービスに共通するものとしては、ワクチン接種を促進するために、利用者へのワクチン接種の同行による人員基準の柔軟な取扱い等は、当面の間継続されます。一方で、幅広く認められていたコロナ影響に伴う人員配置基準違反の減算免除ルールは、利用者や職員に感染者が発生した場合にのみ認められることとなり、要件が厳格化されました。そして、臨時的な取扱いが終了となるのは、まん延防止等重点措置や外出自粛要請を前提とした臨時的取扱いや、ケアプランで予定されていたサービス提供が行われない場合でも算定可能となっていた居宅介護支援費などのルールです。

入所系のサービスのケースでは、例えば、退院患者を受け入れた場合の入所前連携加算の算定や、人員配置基準の柔軟な取扱いなどは、当面継続されます。一方で、コロナ禍の影響によって自宅を訪問できない場合でも連携にかかる加算の算定については終了となります。

通所系や訪問系の在宅サービスでは、例えば、通所系において代替として訪問でのサービス提供を行って通所報酬を得ることの出来るルールは当面継続されます。一方で、通所系・訪問系において、感染対策の観点からサービス提供を短時間とした場合においても、最短時間の報酬算定が可能なルールなどは終了となります。

これら臨時的取扱いの見直しについては、高齢者や基礎疾患のある方にとって新型コロナは引き続き警戒を怠ることなく対応しなければならないため、継続した対応が必要であると同時に、本来定められた報酬に対する基準の順守も必要であり、2つの考え方に基づいたバランスのとれた対応であると思います。今後は、当面継続される臨時的取扱いについて、情勢を見定めながら、いつまで継続されるのか、いずれは見直しの判断が行われることにもなりますので、介護現場では引き続き動向を確認していくことが大切であります。

 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/