24年改定グループホームの現状と課題・論点について

2023.07.07

令和5年6月28日に開催されました介護給付費分科会において、いよいよ2024年介護報酬改定における各サービス分類の議論が始まりました。今回は、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護がテーマとなりました。 

その中でまず、グループホームについての議論の内容を確認し、次期改定に向けたグループホームのゆくえを確認していきたいと思います。今回は最初の議論でしたので、現状と課題を確認するとともに今後の論点が2つ示されました。示された論点は、①医療ニーズへの対応の更なる強化を図る観点。②介護人材の有効活用を図る観点の2つです。具体的には、医療連携体制加算の見直しと、夜間の人員体制(1ユニット1名の夜勤体制)の見直しが検討されることになります。 

まず、医療連携体制加算の見直しについては、前回改定において、加算の(Ⅱ)と(Ⅲ)の要件に、喀痰吸引・経腸栄養に加えて、他の医療的ケアについても対象に加えられました。しかしながら、その後も加算(Ⅱ)と(Ⅲ)の算定率はいずれも4%未満と低調です。昨年度の老健事業による調査では、看護師の配置体制への課題や、医療ニーズのある入居者の受入れ拒否や、退去が生じているケースが散見されていること分かっています。次期改定に向けて、更なる医療ニーズへの対応の評価を拡充していくことが想定されますが、同時にどのようにして、グループホームでの医療連携体制の構築を進めていくべきかが大きなテーマとなります。 

続いて、夜間の人員体制の見直しについては、前回改定において、現在1ユニットに1名体制を見守り機器等の活用により2ユニットで1名の昔の体制に戻すことが検討されたものの、安全面の確保や職員の負担の問題から、限定した建物構造の3ユニットで2名の体制が認められることとなりました。ただし、その場合には単位数が減額されることとなりました。この前回改定の見直し影響について、昨年度の老健事業において行われた調査結果によると3ユニット2名夜勤の場合の効果について「人材を効率的に活用でき、経営に役立てることができた」との回答が見られる一方で、課題として「夜勤者の身体的負担が増えた」「夜勤者の精神的負担が増えた」との回答が見られました。また、3ユニット2名夜勤を実施していない事業所の理由「夜勤者の身体的・精神的負担が増えるから」と回答が多数です。このような状況を踏まえて、今年度の老健事業において、グループホームでの介護ロボット等を活用した生産性向上の効果策定を追加調査することとなっています。この追加調査の結果も踏まえた上で、次期改定に向けて夜間の3ユニット2名体制の構造的な条件を解除することや、2ユニット1名体制への見直しの可能性について、これから検討されることとなります。ただ、その際に単位数の減額が議論の前提となるのかどうかも大きなポイントの1つであると思います。 

以上が、6月の給付費分科会で示された内容です。今後2つの論点に対する具体的な見直し内容に留意していくとともに、グループホームにおいて、その他の論点がどのように示されていくこととなるのかに注目をしていきたいと思います。 


 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/