24年改定居宅介護支援の現状と課題・論点について

6月末より介護給付費分科会において、いよいよ次期介護報酬改定における各サービス分類の議論が始まりました。7月24日開催では、居宅介護支援・介護予防支援の1回目の議論が行われました。
その議論内容を確認するとともに、居宅介護支援の今後の展望、課題、方向性、次期改定に向けた論点について論考したいと思います。7月24日の第1回目の議論では、現状と課題を確認するとともに、今後の論点が示されました。「多様な利用者のニーズへの対応が求められる中、業務効率化等の取組による働く環境の改善等を図るとともに、ケアマネジメントの質を向上させていくために、どのような方策が考えられるか。」と記載されており、具体的な記述には乏しく、2回目・3回目以降の議論より具体化されていくと思います。ただし、現状と課題として示された内容や、参加委員からの意見、また老健調査等の結果を踏まえて、今後の論点についてもある程度の予測を立てることが出来ます。
まず、委員よりケアマネジャーの業務負担の軽減を求める声が多数あがりました。本来のケアマネジメント業務のみならず、要介護高齢者の生活全般に関する相談を受ける窓口となっていることが以前より指摘されてきました。全国的なケアマネジャーの成り手不足も指摘されています。前回改定で導入されたICT活用に伴う逓減制の見直しについては、対応している事業所は限定的であるものの、調査結果では、プランを増やした場合でもケアマネジメントの水準に変化は見られないとのデータが得られていることから、更なるICT活用の促進策が講じられる可能性があります。また、法定研修のカリキュラムや、更新研修の頻度当の見直しを求める声もあがりました。ケアマネジャーの業務負担に対する対策は今後の大きなテーマの1つになります。
続いて、主任ケアマネジャーの配置状況について示されました。全国の居宅介護支援事業所への調査によると、主任ケアマネジャーが管理者を担っているのは80.8%。今はそうでないものの、主任ケアマネジャーを確保できる見込みがあると答えた事業所は13.9%で、これを合わせると94.7%となります。現在は、居宅介護支援事業所の管理者に主任ケアマネジャーの配置が求められているものの2026年度までの猶予期間が設けられています。改めて主任ケアマネジャーの在り方も今後の議論の論点の1つとなります。
また、ケアマネジメントの公正中立性の確保も論点となることが予測されます。集合住宅に対する過剰なサービス提供問題をはじめとして、ケアマネジメントの在り方が問われることとなります。加えて、医療機関への同行支援や、医療連携の在り方も再度の議論になるとともに、予防プランの地域包括支援センターからの委託に関する対応も今後の論点となることが予測されます。
最後に、科学的介護情報システム「LIFE」に関しては、今回の給付費分科会では議論の対象となりませんでしたが、サービス横断的なテーマとしての議論の中で、いよいよ次期改定では、加算の創設含めて、居宅介護支援に対する科学的介護の推進も重要なテーマとなることは間違いありません。
次期報酬改定における居宅介護支援の論点は多数想定され、今後の議論の動向に注視していきたいと思います。

斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体