次期改定分野横断テーマ議論始まる。【介護人材の確保と介護現場の生産性向上】はどうなる?

2023.09.22

次期報酬改定に向けた分野横断テーマに関する議論が始まりました。令和5年9月8日開催では、介護人材の確保と介護現場の生産性向上について、議論が行われました。その内容確認と、今後のゆくえを考察したいと思います。 

まず今回は、4つの項目に基づき議論が行われました。介護人材の処遇改善等「人員配置基準」介護現場の生産性向上の推進、経営の協働化・大規模化」「外国人介護人材に係る人員配置基準の取扱いについて」です。 

介護人材の処遇改善等」に向けては、圧倒的な介護人材不足の中、他産業と比較しても4倍近く有効求人倍率が高くなっており、政府の進める賃上げ政策を推進するためにも、公的価格である介護業界での賃上げには報酬による対応が不可欠であります。また、昨年末に厚生労働省からは、処遇改善関連加算の1本化と書式の簡素化を実現する方針されています。分解でも改めてその方針が示されたところであり、次期改定での加算の1本化が期待されます。どのようなルール統合されるかが、大きな注目ポイントとなります。同時、居宅介護支援に対する処遇改善加算の創設についても分科会では委員の多くより声があがりましたが、まだこちらの見通しは不明な状況にあり、今後の動向を注視したいと思います。 

「人員配置基準」については、規制改革推進会議より提言された管理者の兼務規程の見直しや、人員配置基準のローカルルールの見直し、管理者のテレワークの取扱いについて方向性が示されました。 

「介護現場の生産性向上の推進、経営の協働化・大規模化」に向けては、前回報酬改定で、特養やグループホーム等のテクノロジーの活用による人員配置要件の見直しについて、各種調査を踏まえた更なる推進の方向性が示されるとともに、介護助手の活用方法について、次期改定で何らかの検討が行われる可能性もあります。加えて、経営の協働化・大規模化についても社会福祉法人による連携推進法人の在り方を参考に、更なる検討が行われることになります。 

「外国人介護人材に係る人員配置基準の取扱いについて」は、こちらは、直接は報酬改定に係る事項ではありませんが、今年度より専門部会が開催され、技能実習制度の廃止と新制度の創設とタイミングを合わせて、介護固有要件の見直しも行われることになります。分科会では、特に、技能実習制度における就労開始から6カ月間を経なければ介護職の配置要件に含まれないとされているルールについて、特定技能と同様に、就労開始時より配置要件とする方向性について改めて示されたところです。 

次期報酬改定に向けた議論は、いよいよ活発化してきました。分野横断テーマについても、サービス種別の議論と同様に、今後、介護給付費分科会における関係団体ヒアリングの終了後、10月ごろからより具体的な議論が行われてくることとなります。議論のゆくえをしっかりと確認していきたいと思います。 

 
 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/