2024年改定における通所介護の論点がいよいよ明確に

2023.11.02

介護給付費分科会における次期介護報酬改定に向けた議論がいよいよ具体化してきました。関係団体ヒアリングが終了し、令和5年10月後半より各サービスの2巡目の議論が始まり、論点と対応案が示されることになりました。 

今回は、令和5年10月26日に開催された分科会で示された通所介護の次期改定について論考したいと思います。まず今回示された論点は4つ。①入浴介助加算の見直し。②個別機能訓練加算の適正化。③通所系サービスにおける3%加算・規模区分特例について。④豪雪地帯等に対する通所介護等の取扱いの明確化。それぞれ解説致します。 

入浴介助加算の見直しについて、具体的にはⅠの算定要件の厳格化。Ⅱの算定要件の緩和の対応案が示されました。Ⅰについては、入浴介助技術の研修実施を算定要件に求める案が示されました。検討会の委員からは研修の内容が現場の過度な負担とならないことや、負担に見合った報酬増を求める声も上がりました。Ⅱについては、現在、算定要件が10%前後と低調であり、入浴介助における自立支援に向けた個別訓練の対応の困難性や、個浴の存在しない事業所での困難性を考慮し、Q&Aで示されている緩和措置をより明確化することや、自宅訪問においてICT活用等を踏まえて介護職員で可能な要件への見直し案が示されました。Ⅰの研修の在り方が重要なポイントとなりますが、上位区分であるⅡの算定要件の緩和は歓迎されることであり、更なる単位数増とともに今後の議論に期待していきたいと思います。 

個別機能訓練加算の適正化について機能訓練指導員の専従・非専従かの配置要件によって現在は(イ)と(ロ)に区分が分かれています。(ロ)について、機能訓練指導員をサービス提供時間帯通じた配置を不要とする要件緩和を行うとともに、単位数の削減案が示されました。要件緩和は有り難いものの、単位数の削減は当然好ましいことではありませんが、他とのバランスの中での最終決定を待ちたいと思います。 

③通所系サービスにおける3%加算・規模区分特例について、コロナ影響による利用者減に対する対策として設けられた“いわゆるコロナ3%特例”です新型コロナが5類へと感染症法上の位置づけが変更されたことを受け、新型コロナによる影響での特例を廃止するが示されました。同時に、将来に同様のパンデミック等が発生した際には、すぐにリカバリー策がとれるようルールを整えておく案示されました。こちらも事業所にとっては、5類となった今でもコロナによる影響が生じているので3%特例の継続希望の声は多いですが、ただし、法律上5類と位置づけられている以上は、季節性のインフルエンザや、ノロウイルスなどの他の感染症と同様に、一般的な感染対策をとることは基本サービスとして位置づけられていることから、見直しはやむを得ない部分もあります。 

豪雪地帯等に対する通所介護等の取扱いの明確化について、送迎到着時間が遅れた際のサービス提供時間への配慮が、現在は利用者の“心身の状況”という文言が示されており、雪や天候による配慮がなされていません。これを天候等の事由での遅れについても配慮することを明文化する案が示されました。これは、なんとしても実現頂きたい内容であります。 

以上、今回の2巡目の議論では4つの論点と対応案が示され、プラスとマイナスが織り交ざった見直しの方向性となっています。ただし、今後の大きなポイントは全体改定率の決定です。基本報酬単位のプラスがどうなるかが最も重要でありしっかりと大きなプラス改定となれば、適正化でのマイナスもリカバリーすることが出来ます。更には、通所介護のみならず、サービス横断に係る自立支援・重度化防止や、科学的介護の推進、LIFEに関連する加算の更なる拡充も期待されますので、それらトータルの見直し内容について、今後も着目していきたいと思います。 

 
 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/