訪問+通所複合型新サービスの詳細が判明(1)

2023.12.08

訪問と通所を組み合わせた複合型新サービスの具体的な中身が、いよいよ見えてまいりました。令和5年11月6日に開催された介護給付費分科会において、具体案が示されました。12年ぶりとなる新サービスの創設には、賛否両論の様々な意見がありますが、分科会でも否定的な意見や、慎重論を促す意見が多数を占めていたこともあり、具体案の中身は保守的な内容になったとの感想を持ちました。 

新サービスの基本の立て付けは、訪問介護と通所介護の組み合わせとなります。将来的には、看護サービスの組み合わせなど複数の類似サービスの創設の可能性もありますが、まずはこの1サービスの創設からのスタートとなります。その上で、新サービスのポイントは5つです。 

 

①地域密着型サービスであり、運営推進会議は6ヶ月に1度の開催が想定されます。 

②基本報酬は包括払い(要介護度別)が想定されます。 

③居宅介護支援事業所のケアマネジャーによるケアプランに基づくサービス提供が想定されます。 

④利用定員は登録定員29名以下が想定されます。 

⑤人員基準の詳細は、未定ですが、訪問サービスについて、有資格者の配置要件となることが検討されています。 

 

いずれも、現時点では案の段階であり、最終決定しているわけではありませんが、概ねこの方向性で調整されることになると思います。 このうち、①~③までは当初より想定されていた中身でありますが、④⑤は保守的な内容になったと感じます。利用定員については、もう少し拡大されるのではと期待していましたが、登録定員が29名ということであれば、通所定員も小規模多機能型居宅介護と同様の18名程度の定員になることが想定されます。また、人員基準については、小規模多機能型居宅介護では訪問サービスは資格の無い職員でも対応可能ですが、新サービスでは訪問介護と同様に有資格者が求められる可能性があります。人員配置要件に有資格者が求められることとなれば、人材確保が懸念され、新サービスの事業所開設のハードルが高まることになります。また、定員についても小規模となれば、採算の確保が難しくなることが懸念され、こちらも同様に、事業所開設のハードルが高まることになります。 

今後、更なる検討が進められ、年明けに報酬単位数含めた全てのルールが決定され、発表される中身次第ではありますが、現時点での情報から判断すると、新サービスはすぐに多くの事業者が開設する流れになることは難しく、着実な事業所数の伸びになるのではないかと思います。 

しかしながら、人口減少社会の中、現役世代の急減を迎えるこれからの時代では、1つの事業所が複数の役割を担う複合型サービスが重要になってきます。また、持続可能な介護保険制の確立に向けては、財源を計画的に見通すことのできる包括払いによる報酬単位が重要になってくることからも、包括払いである複合型サービスは“新しい介護のカタチ”として注目すべきであり、今回の新サービスのゆくえの動向を、これからも注視していきたいと思います。 

 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/