令和6年能登半島地震を踏まえて、業務継続計画(BCP)の策定が不可欠

令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の被害状況が日増しに拡大しています。能登地域の介護事業所の被害状況も明確になり、未だ断水や停電の続いている事業所も複数あります。事業の継続が難しい事業所の利用者は、近隣事業所と受入れ調整を行い、順次対応が行われている状況です。更には、避難所で生活されている方々で介護を必要としている方への支援も求められており、物的支援、人的支援が不足している状況にあります。当連盟においても、災害支援に向けて、見舞金窓口を設置し、人的支援への協力とともに、全国の会員事業所へ要請しています。出来うる限りの支援を継続していきたいと思います。
今回の震災を踏まえて、改めて全国の介護事業所で、災害時の対応策をしっかりと定めておくことの必要性が浮き彫りとなりました。要介護高齢者の身体・生命を守り続けることが求められる介護事業所においては、どのような状況に陥った場合でも支援を継続できる体制を整えることが求められており、業務継続計画(BCP)の策定が必須となります。
そもそも、介護事業所が業務継続計画(BCP)を策定することは、前回(2021年)改定において、すでに義務付けられています。コロナ禍で迎えた報酬改定であり、災害や感染症への対応力の強化を図っていく観点から、全ての介護事業者に業務継続計画(BCP)の策定を義務付けました。ただし、3年間の経過期間が設けられており、令和6年3月31日までに策定が求められていました。策定に際しては、業務継続計画(BCP)ガイドラインを参考にすべきとして示されています。
この経過期間を踏まえて、次期(2024年)改定において、見直しが行われ、令和6年4月1日より、居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く、全ての介護事業所で業務継続計画(BCP)が未策定の場合には、基本報酬が減算されることとなります。現時点では減算のパーセンテージについては、示されておりませんが、間もなく決定され、公表されることになります。ただし、今回も一定条件が設けられた経過措置がとられることになります。具体的には、「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」及び、「非常災害に関する具体的計画の策定を行っている」場合には、令和7年3月31日までは、減算は適用されないこととなります。また、訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援については、無条件で同じく令和7年7月31日まで経過期間が設けられることになります。とは言え、少なくとも1年後には、必ず介護事業所は業務継続計画(BCP)を策定しなければ減算となってしまいます。
中小零細の介護事業所にとって、業務継続計画(BCP)の策定を行うためのノウハウが不足しており、手間もかかってしまいますが、能登半島地震の状況などを考えれば、やはり、業務継続計画(BCP)策定は不可欠であります。厚労省より示されている策定ガイドラインなどを参考にしながら、これから1年強の期間で策定準備を進めてもらいたいと思います。

斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体