令和6度介護報酬改定における訪問介護・訪問入浴の見直し解説

2024.02.16

「令和6年度介護報酬改定における改定事項」の解説。今回訪問介護・訪問入浴介護の見直し内容について解説していきたいと思います。 

全体改定率は+1.59%であり、処遇改善を除いた事業者への割り振りは+0.61%となります。訪問介護の基本報酬単位は、4から1単位-2.0%。ほとんどのサービスが基本報酬単位のプラスとなる中でのマイナスとなり、業界で大きな波紋を広げています。訪問入浴介護は、要介護は6単位増、予防は4単位増の+0.47%となりました。訪問入浴介護は、平均0.61%より少し低い上げ幅であり、微増の改定と言えます。 

見直し項目については、訪問介護は11項目、訪問入浴介護は9項目となり、両サービスとも他サービスと共通する見直し項目、「処遇改善加算の1本化」「BCP未作成に対する減算の導入」「高齢者虐待防止の推進」「身体拘束等の適正化の推進」「テレワークの取扱いの明確」「特別地域加算の見直し」等となります 

 

訪問系サービス及び、訪問介護に限定した見直し項目は今回4す。 

特定事業所加算の見直し 

訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し 

訪問系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化 

同一等建物居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し 

 

特定事業所加算の見直し」は、単位数はほとんど変化なく、看取りや重度対応を重視する要件追加や、中山間地域への評価が行われます認知症専門ケア加算の見直し」は単位数は変わら算定要件が緩和されています。口腔連携強化加算の創設」は、今回最も影響の大きい見直しであり、歯科医療機関や介護支援専門員との連携や情報提供による口腔管理を行うことで算定可能な新たな加算の創設です。1回50単位で1月に1回限りの算定とはなりますが、基本報酬のマイナスを取り戻すには、算定を是非とも検討すべきと思います。同一建物等減算見直し」は、サービス付き高齢者向け住宅や、住宅型有料老人ホームなどの集合住宅における減算を更に拡大する措置であり、従来の10%減算と15%の他に、12%減算のルールが追加されることになりました。 

 

訪問系サービス及び、訪問入浴介護に限定した見直し項目は、今回2つです。 

1.看取り対応体制の評価 

2.訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し 

 

「認知症専門ケア加算」は訪問介護と同様の対応となります。訪問入浴介護に限定した見直しは、「看取り連携体制加算」の創設となります。看取り期の利用者に対して、医師・訪問看護師等の他職種との連携体制構築による1回64単位の加算が創設されます。 

以上の今回の令和6年度介護報酬改定の見直し項目は訪問介護にとっては厳しい改定であることは否めません。しかしながら、1本化された処遇改善加算においては、最大の加算率となる24.5%の算定も可能となります。ヘルパー不足の確保に向けて、着実に処遇改善加算の上位区分を算定することが重要な対策の1つとなります。同時に、新設加算の算定や、既存加算の算定を今一度検討することが必要となります。訪問入浴介護は、看取りへの対応や、重度化への適切な対応をこれまで以上に心がけていくことが大切となります。 

 
 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/