令和6年度介護報酬改定における認知症対応型生活介護(グループホーム)での見直し解説

「令和6年度介護報酬改定における改定事項」の解説。今回は、認知症対応型生活介護(グループホーム)の見直し内容について解説していきたいと思います。全体改定率は+1.59%であり、処遇改善を除いた事業者への割り振りは+0.61%となります。認知症対応型生活介護(グループホーム)の基本報酬単位は、全ての要介護度で1単位増となる+0.11%と微増と言えます。
見直し項目について、認知症対応型生活介護(グループホーム)は17項目となりますが、他サービスと共通する見直し項目が多くなります。例えば「協力医療機関との連携体制の構築」「協力医療機関連携加算の創設」「高齢者施設等感染対策向上加算の創設」「BCP未作成に対する減算の導入」「高齢者虐待防止の推進」「認知症チームケア推進加算の創設」「科学的介護推進体制加算の見直し」「処遇改善加算の1本化」「テレワークの取扱いの明確化」「生産性の向上推進体制加算の創設」「技能実習生の人員配置要件の見直し」等となります。中でもポイントとなる見直し項目である「協力医療機関との連携体制の構築」「協力医療機関連携加算の創設」は、努力義務ではあるものの、協力医療機関の定義が明確化され、医療連携の体制がしっかりと構築される実態の伴う連携先の確保が求められることになります。同時に、情報共有を行う会議等を定期的に開催することで算定可能な加算が創設されます。また、「生産性の向上推進体制加算の創設」は、介護ロボットやテクノロジー活用による生産性の向上に向けた業務改善が行われていれば算定可能な加算が創設されます。加えて、グループホームには重要となる「認知症チームケア推進加算の創設」は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぐため、専門研修受講者の配置やチームケアを実施していれば算定可能な加算が創設されます。
その他、グループホーム固有の見直し項目は2つです。
1.医療連携体制加算の見直し
2.夜間支援体制加算の見直し
「医療連携体制加算の見直し」は、従来の加算のⅠとⅡとⅢが新たな加算Ⅰに看護師配置要件による(イ)と(ロ)と(ハ)に統合され、単位数が2単位減となります。加えて新たな加算Ⅱでは医療行為が必要な利用者の対象に留置カテーテル使用とインスリン注射実施が加えられ5単位となります。Ⅱの算定を行えばプラスで、行えなければマイナスとなるなど、医療対応の重要性が改めて示されることになりました。「夜間支援体制加算の見直し」は、見守り機器の導入割合によって夜勤職員の配置要件が僅かに緩和されます。
以上の今回の令和6年度介護報酬改定の見直し項目は、認知症対応型生活介護(グループホーム)にとっては、医療連携、重度・看取りへの対応強化や生産性向上がいっそう求められるとともに、認知症への専門性の更なる向上が必要であるとの方向性が示されたことになります。

斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体