財務省による2027介報酬改定における集合住宅等への更なる減算提言

2024.05.17

財務省より4月16日に審議会(財政制度等審議会)が開かれ、社会保障をテーマとした意見提言が行われました。特別目新しいメニューるわけではありませんが、濃淡のついた提言内容の中には、何としても3年後の法改正・報酬改定に向けて実現させるべきであるとの財務省の強い決意を感じ取ることのできる厳しい内容がいくつか含まれています。今回の介護に対する提言内容は大きく9つです。 

 

1.ICT機器を活用した特養・通所介護等の人員配置基準の柔軟化 

2.経営の協働化・大規模化の推進 

3.集合住宅(サ高住・住宅型有老等)におけるサービス提供の在り方 

4.介護保険外サービスの柔軟な運用。ローカルルールの確認 

5.人材紹介会社に対する規制強化 

6.要介護1と2の介護保険外し 

7.ケアプラン作成の利用者負担の導入 

8.利用者の2割負担の対象拡大 

9.老健等の多床室の室料負担の見直し 

 

今回は、この9つの提言の中で、2027年介護報酬改定における今後の大きな論点になると予測される「3.集合住宅(サ高住・住宅型有老等)におけるサービス提供の在り方について深堀して確認したいと思います 

財務省による具体的な改革の方向性(案)は、①集合住宅についても施設や居住系サービスと同様に自治体による整備計画に基づいた新規開設上限を設けること。②集合住宅のサービス利用においては区分支給限度基準額ではなく、特定施設の報酬を利用上限とした仕組みとすること。③生活援助サービスに関する自治体のケアプラン検証をより実効的に行うこと。と示されています。①②の案はいずれも、厚労省によって従来から議論されてきた内容とは論点が異なることからも、この財務省案がすぐに実現する可能性は低いとは予測しますが、集合住宅に対する更なる減算対応や、ケアマネジメントの公正中立性の確保に向けた議論に拍車がかかることになると感じています。今回の改定では、訪問介護における同一建物減算において、在宅への訪問割合が1割以下であれば12%減算となる新たな見直しが行われました。次期改定においては、更なる減算割合の拡大や、在宅訪問の割合の見直しとともに、過剰サービスに対するケアプラン点検の拡充等が議論のポイントになると思います。いずれにせよ、今回の財務省の提言からは、次期改定における集合住宅に対する改革に向けた強い意思を感じました。 

3年後の介護報酬改定において、間違いなく集合住宅(サ高住・住宅型有老等)に対する厳しい対応がテーマとなると思います。その他の内容含めて、この財務省による意見提言から次期法改正・報酬改定に向けた議論が本格スタートしたと捉えるべきであり、3年後に向けた、財務省との綱引きが始まったのです。介護関係者は、今後の議論に大いに注目していくべきであります。 

 
 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/