厚労省によるケアマネジャーの在り方に関する検討会がスタート

令和6年度を迎え、ケアマネジャーの在り方に関する議論が活発化してまいりました。4月16日に開催された「財政制度等審議会財政制度分科会(財政審)」において、次回の法改正におけるケアプランの利用者負担の導入について改めて提言が示されました。介護保険部会において、来年末までの議論の中で、このテーマは大きな論点となることは間違いありません。
また、今年度より厚労省は、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」を設置し、ケアマネジャーの在り方に関する議論をしっかりと行っていくことになります。第1回目の検討会において、4つの検討事項が示されました。「①ケアマネジャーの業務の在り方について」は、居宅介護支援のケアマネジャーは、本来業務であるケアマネジメントに関することのみならず、要介護高齢者の暮らしをサポートするあらゆる相談を受けるケースも散見されており、シャドーワークとも言われる附帯業務と本来業務の整理を行うことや、主任ケアマネジャーの役割の見直しや、管理者の配置要件の見直し等が検討されることになります。「②人材確保・定着に向けた方策について」は、介護保険制度施行時には、介護従事者の多くが、いずれは資格取得し居宅介護支援のケアマネジャーを目指していましたが、現在は、なり手不足ともいえる状況にあります。今後ますます高齢者が増え続け、労働人口が減少する時代を迎える中で、ケアマネジャーの確保は、業界の最重要課題の1つとも言えます。そのような状況の中で、居宅介護支援には処遇改善加算が創設されておらず、介護職との給与差も僅かとなってきています。ケアマネジャーに対する処遇改善に関する支援策等の検討となります。「③法定研修の在り方について」は、更新制度や更新研修について、全国のケアマネジャーより廃止を求める声が上がっている中で、改めて制度・研修の在り方や見直しについて、更にはケアマネジャー受験資格要件の見直し等が検討されることになります。「④ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進」は、認知症やお1人様高齢者への対応力の強化や、公正中立なケアマネジメントの在り方、更には、生産性向上の進め方等が検討されることになります。5月9日に開催された第2回検討会では、ヒアリング団体として全国介護事業者連盟を代表し、私も参加し、当連盟の居宅介護在り方委員会で議論した内容を基に、意見提言を行ってまいりました。
ケアマネジャーは、介護保険制度における根幹ともいえます。そのケアマネジャーに関する課題が山積している状況にあり、改めてケアマネジャーの在り方に関する議論が本格的に行われることとなり、大いに期待できることであります。是非とも今後の議論のゆくえに着目ください。

斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体