骨太方針2024の原案が示される。2027年法改正・報酬改改定のゆくえ

2024.06.21

目下は、令和6年度介護報酬改定が施行され、事業者はようやくひと段落ついたばかりのとこでありますが、令和9年度の法改正・報酬改定に向けた動きが、いよいよ活発になってきました。今後の大注目は、すでに原案が示されていますが、6月21日ごろに閣議決定予定となる「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)」の中身です。毎年政府より示される今後の政策の指針となります。

この骨太方針に記載された内容は、どのような形に着地するにせよ原則は、実現に向けた政策立案が進められます。骨太方針2024に、社会保障政策がどのような記述となるかは注目です。

その骨太方針2024の取りまとめに向けて、4月16日に財務省は財政審を開催し、社会保障をテーマとした議論を行い、5月21日には「我が国の財政運営の進むべき方向」と題した建議を政府に提出しました。財政再建に向けた社会保障費の抑制政策が中心であり、介護事業者にとっては厳しい提言がいくつも示されています。

また、5月23日に、岸田総理を議長とする「経済財政諮問会議」が開催されました。この会議の議員は、主要閣僚に加えて、財界人が多数の構成となっており、社会保障改革を推進していく立場での議論となります。今回の会議において、岸田総理は、「医療費・介護費の適正化に向けた改革を前進させる」と発言しました。この発言は大変重たい言葉です。

政府が適正化と表現した際は、実質的な削減を意味すると捉えても過言ではありません。社会保障は削減すべき予算ではないとの認識から、支出の適正化、無駄をなくすという観点から、実質的には削減を意味します。この総理の発言は、骨太方針2024の中身にも一定の影響を及ぼすことになります。

現在示されている骨太方針2024の原案においては、「医療・介護等の不断の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要である。」と記されており、「不断の改革」「ワイズスペンディグ」といった文言はあるものの「適正化」等の直接的なマイナス改定を示唆する表現となっていないことには一安心です。

しかしながら、「介護保険制度について、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し、ケアマネジメントに関する給付の在り方、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方については、第10期介護保険事業計画期間の開始の前までに検討を行い」「高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題…実効性ある対策を講じる。」と記されており、財政再建に向けた具体策の検討方針が示された形となり、令和9年度の法改正・報酬改定の議論にも大きな影響を及ぼすこととなります。

間もなく骨太方針2024が正式に閣議決定されることとなります。その中身は大注目すべきです。加えて、厚労省は、ケアマネジメントの在り方に関する検討会を今年度新たに設置し、ケアマネジャーの在り方の見直しを行うこととなります。

また、外国人活用における検討会も間もなく、中間報告書を取りまとめる予定となっており、訪問介護における特定技能の解禁の方向性が示されることになります。将来の大きな制度改革に向けた動きがまさに今始まろうとしています。

 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/