新総理の誕生!石破内閣による社会保障政策のゆくえ
令和6年9月27日に自由民主党の総裁選挙が行われ、石破茂新総裁が誕生しました。この後、10月1日に召集される臨時国会における首班指名において石破茂内閣総理大臣が誕生します。加えて、早々に自民党の幹部人事と組閣が行われる状況です。この石破内閣の発足が社会保障政策、介護政策にどのような影響が生じることとなるのかを論考したいと思います。
石破新総理は、一般的には財政規律派であるとともに、外交や安全保障への意欲が高く、社会保障政策に対する細かな方針が示されることは、これまであまりありませんでしたので、社会保障や介護政策においては厳しい予測となるのではないかと危惧されている面もあります。しかしながら、私は必ずしも厳しい面ばかりではないと思います。すでに示されている方針の中で、経済政策は岸田政権の政策を踏襲する方向性が示されており、物価高騰対策や、賃上げ方針を堅持していくことになります。介護事業者に対する物価高騰による事業者向けの対策や、従事者に対する賃上げ・処遇改善の更なる対応に期待をしていきたいと思います。また、財政規律派と言われており、支出抑制による社会保障費の削減へと繋がる側面は確かにありますが、一方で、総理就任前には消費税の増税に関する積極的な言及もありました。消費税の増税となれば、消費者にとっては厳しい面もありますが、増税された税収は社会保障費や福祉への目的に活用される可能性は高く、介護業界にとっては好意的に捉えることも出来ます。
石破新総理は、社会保障政策に対する言及が少なく関心が低いと思われがちですが、そもそも国の支出の半分以上を占める社会保障に関心の無いリーダーは存在しないわけであり、政策通と言われる石破新総理も当然ながら、確かな見識と情報に基づく考え方を持たれています。また、組閣や党内人事において、社会保障政策に精通した人選を積み上げています。加えて、総裁選挙における決戦投票において、岸田前総理、菅元総理の支援を得ており、菅元総理は党副総裁に就任することとなりました。菅副総裁は社会保障に対する配慮を欠かしたことはありませんので、この人事にも大いに期待をすることが出来ると思います。
今後の石破新総理による所信表明演説でビジョンをどのように示されることになるのか。更には、近く衆議院議員の解散総選挙も近いと噂されており、解散総選挙となれば、そこで自民党が示す選挙公約・マニフェストに注目をしていきたいと思います。いずれにせよ、石破新総理の誕生は決して社会保障政策において厳しさ一辺倒とはならないであろうことをお伝えしたいと思います。
斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体