ケアマネジメントの在り方の議論のゆくえは大詰めを迎える
厚生労働省が今年度より設置した「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の議論は、いよいよ大詰めを迎えています。年内中には報告書のとりまとめが予定されています。その報告書の取りまとめに向けて、全国介護事業者連盟として10月30日に「ケアマネジメントの在り方に関する要望」を厚生労働省に提出しました。
ケアマネジャーの業務の整理、主任ケアマネジャーの管理者要件の緩和、居宅介護支援における処遇改善加算の創設、更新制度・研修の抜本的な見直しといった要望を行いました。検討会で示されている下記の4つの検討項目に基づいた要望となっています。
- ケアマネジャーの業務の在り方について
- 人材確保・定着に向けた方策について
- 法定研修の在り方について
- ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み
報告書の取りまとめの公表は間もなくとなりますが、当連盟が提出している要望内容の多くが盛り込まれる可能性は高いと思いますので、要望内容を確認いただくことで、今後のケアマネジメントの在り方改革の方向性の理解へと繋がりますので、関心ある方は、当連盟HPよりご確認ください。
一方で、更新制度・研修に関する議論は益々活発となっており、制度・研修の維持か廃止かで賛否両論の議論が激しくなっており、業界の分断にも繋がりかねない状況にあります。また、先般行われた衆議院議員選挙において、与党が過半数を割れることとなり、現在、国民民主党・日本維新の会との連携が模索されています。国民民主党は政権公約の1つに更新制度・研修の廃止を掲げており、今後の政策のゆくえが大いに注目されています。ただし、これまで検討会において丁寧な議論が進められており、間もなく公表される報告書においては、制度・研修の廃止の方向性が示されることは無いと予測されます。制度・研修は維持される前提で、内容は大きく見直される可能性は高いと思います。今後の制度・研修の在り方については、この方向性で進んでいくことと思います。ただし、国民民主党との連携の過程で、廃止の議論がこれから行われる可能性もあるかもしれませんが、廃止の流れに簡単に方向転換はされないと思います。政局によって、今後どのような制度見直しに影響が生じるかを注視していきたいと思います。
政策決定のプロセスには様々な積み重ねが必要であります。更新制度・研修が創設された背景をしっかりと理解し、廃止に向けた議論を進めるならば、その背景への反証となる根拠や時代変化をしっかりと示し、現場の状況調査を進め、関係者の意見も聞きながら、公的な検討会での議論を経た上で、はじめて議論の遡上に上がってくることとなります。まずは、年内公表される報告書の内容をしっかりと確認し、制度・研修は維持されるものの大きな見直しが行われることになると思います。その上で、制度・研修の在り方は中期的に改めて見つめ直していくことになると思います。
斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体