ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理
先週のコラムでお伝えした通り、厚生労働省が今年度より設置した「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の中間整理の素案が、令和6年11月7日に示されました。その中身を確認していきたいと思います。
中間整理の素案では、冒頭に、高齢者のニーズが複雑化しており、ケアマネジャーに多様な対応が求められ、ケアマネジャーの役割が増大していること。ケアマネジャーのなり手不足を解決する必要性があることなどが記されています。
その上で以下4つの項目ごとにまとめられており、『①ケアマネジャーの業務の在り方について』では、居宅介護支援のケアマネジャーが、本来業務であるケアマネジメント業務以外に、要介護高齢者の暮らしをサポートするためのあらゆる相談を受けるケースが散見されており、シャドーワークとも言われる附帯業務と本来業務の整理の必要性について記されています。また、主任ケアマネジャーの役割の見直しについても言及されています。『②人材確保・定着に向けた方策について』は、最大の課題とも言えるケアマネジャーのなり手不足の解消に向けて、「現役世代人口が減少する中、他産業に見劣りしない処遇を確保するとともに、事務に係る負担軽減を実施していく」と記されており、ケアマネジャーの処遇改善を図る方針が記されており、今後の対応に大きな期待が持たれます。加えて、ケアマネジャー受験資格要件の見直しの方向性が示され、受験者数の増加を目指す方向性が記されています。『③法定研修の在り方について』は、ケアマネジャーの多くが注目していた論点でありますが、「更新研修を含めた法定研修については、継続して実施することを前提としつつ、可能な限り経済的・時間的負担の軽減を図る」と記されており、制度は維持されたまま、中身の大幅な見直しが行われる可能性が高まりました。カリキュラムの全国統一対応や、オンライン研修、5年間で分割したオンデマンド受講の方向性などが示されており、実現に大きな期待が持たれます。『④ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進』は、認知症やお1人様高齢者への対応力強化、公正中立なケアマネジメントの在り方、生産性向上・DX推進の必要性が記されています。
ひとまず示された整理は素案段階ではありますが、大きな方向性はこの流れで中間報告書にまとまっていくことになると思います。今後、細かな修正をしつつまとめられる中間報告書に基づき、更なる具体的な制度見直しを行われることとなります。今後のケアマネジャーを取り巻く政策の変化は引き続き大きな注目の的となることと思います。
斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体