ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理が決定

2024.12.20

厚生労働省が今年度より設置した「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の中間整理が、令和6年11月7日に素案が示され、12月2日に案としてまとめられ、12月12日に、ついに内容が確定しました。

中間整理では、冒頭に、高齢者のニーズが複雑化しており、ケアマネジャーに多用な対応が求められ、ケアマネジャーの役割が増大していること。ケアマネジャーのなり手不足を解決する必要性があることなどが記されています。

その上で4つの項目ごとにまとめられており、1つ目は、『ケアマネジャーの業務の在り方について』であり、居宅介護支援のケアマネジャーが、本来業務であるケアマネジメント業務以外に、要介護高齢者の暮らしをサポートするためシャドーワークとも言われる様々な相談を受けるケースが散見されており、この度、居宅介護支援におけるケアマネジャーの業務が4分類に整理され、示されました。

  • ① 法定業務
  • ② 保険外サービスとして対応しうる業務
  • ③ 他機関につなぐべき業務
  • ④ 対応困難な業務

この4分類の具体的な業務イメージについても別添にて示されています。これまで多くのケアマネジャーが無報酬で行っていた郵便・宅配便等の発送や受取、書類作成、代筆・代読、救急搬送時の同乗などは保険外サービスとして自費を設定することも選択肢となる方向性が示されています。また、主任ケアマネジャーの役割の見直しについても言及されています。

2つ目は、『人材確保・定着に向けた方策について』であり、最大の課題とも言えるケアマネジャーのなり手不足の解消に向けて、「他産業・同業他職種に見劣りしない処遇を確保する」と示されており、今後の対応に大きな期待が持たれます。加えて、ケアマネジャー受験資格要件の見直しの方向性が示され、受験者数の増加を目指す方向性が記されています。

3つ目は、『法定研修の在り方について』であり、ケアマネジャーの多くが注目していた更新研修については、「可能な限り経済的・時間的負担の軽減を図ることが適当である。」「あわせてその在り方についても検討することが適当である。」と示されています。将来における制度廃止の余地は残しつつも、当面は制度が維持されたまま、中身の大幅な見直しが行われることとなります。今後の見直しの早期実施に大きな期待が持たれます。

4つ目は、『ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進』であり、認知症やお1人様高齢者への対応力強化、公正中立なケアマネジメントの在り方、生産性向上・DX推進の必要性が記されています。

この中間整理を踏まえて、これから居宅介護支援におけるケアマネジャーの制度改革の詳細が詰められていくこととなります。早急な対策実施が求められており、今後のゆくえを注目していきたいと思います。また、居宅介護支援におけるケアマネジャーにおいては、来年より法改正における利用者負担の設定の是非が大きな論点となることから、合わせて今後の注目ポイントとなります。

 

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

現場主導による制度改革の実現に向けて介護及び障害福祉事業者による大同団結を目指す横断型(法人種別・サービス種別)の事業者団体

http://kaiziren.or.jp/