第4回 人はなぜ、介護の現場を去るのか

2026.02.16

介護の現場では、「人手不足」「離職が多い」という言葉が当たり前のように語られがちです。しかし実際には、すべての職場で同じように人が辞めているわけではありません。

人が定着する職場と、静かに人が離れていく職場。その違いは、いったいどこにあるのでしょうか。今回は、介護職員が職場を離れる本当の理由と、日々の関わりの中でできる離職予防のヒントについて考えます。

介護の現場の離職率は高い!?

介護の仕事は「給与が低い」「仕事がきつい」ため、離職率が高い――こうしたイメージは、いまも根強く残っています。

しかし、実際のデータを見ると、この見方は必ずしも正確とは言えません。介護職の離職率は近年、緩やかな低下傾向にあり、令和6年度の介護労働実態調査では12.4%と過去最低を更新しました。これは、全産業平均14.2%(厚生労働省「雇用動向調査」)を下回る水準です。「介護は特に人が辞めやすい業界」という単純な見方は、現状を正確には捉えていないと言えます。

一方で、すべての職場で状況が改善しているわけではありません。離職率が20%を超える事業所も全体の約4分の1にのぼり、事業所間の差はむしろ広がりつつあります。現場レベルでは、離職が起きにくい職場と起きやすい職場の二極化が進んでいるのです。

問題は「業界として人が辞めやすいかどうか」ではありません。どの職場では人が残り、どの職場では静かに離れていくのか。その違いを生んでいる要因に目を向ける必要があります。

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次回更新は3月16日(月)

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山口 宰 氏

社会福祉法人光朔会オリンピア 常務理事

1979年神戸市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、スウェーデンで高齢者・障害者福祉を学ぶ。大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(人間科学)。24歳で全国的に前例のない高齢者総合福祉施設を開設し、常務理事として法人を年商19億円規模へ成長させる。神戸国際大学准教授、大阪大学大学院特任准教授を歴任。大学での教育・研究のほか、経営戦略や人材育成のコンサルティングに携わり、国内外での講演・研修は年間50回に及ぶ。

https://ptsukasa.jp/