第5回 やる気を引き出す介護現場のつくり方――心理的安全性がチームを育てる

2026.03.16

これまで4回にわたり、介護現場におけるスタッフのモチベーションについて考えてきました。やる気の仕組みや日々の関わり方、「不満がないこと」と「前向きに働けること」は別の問題であること、そして離職の背景には給与や業務量だけではなく、人間関係や職場のあり方が関わっていることを見てきました。

そこで今回は、モチベーション編のまとめとして、スタッフのやる気を引き出し、人が育つ介護現場をつくるための土台となる「心理的安全性」を取り上げます。

やる気を引き出す介護現場の共通点

スタッフが安心して働き続けられる介護現場には、どのような特徴があるのでしょうか。

私はこれまで、研修や組織づくりの支援を通じて、全国のさまざまな介護事業所の現場に関わってきました。その中で感じるのは、スタッフが長く働き、チームが安定している現場には次のような共通した雰囲気があるということです。

  • 新人スタッフが質問しやすい
  • 気づいたことを遠慮なくチーム内で共有できる
  • 失敗しても責められるのではなく、次にどう生かすかを一緒に考えられる

こうした空気がある介護現場では、人が育ち、チームも自然と強くなっていきます。反対に、発言することに遠慮が生まれ、疑問や違和感が言葉にしにくい現場では、次第に提案や工夫が減り、職場の活力も失われていきます。

このように、メンバーが安心して意見や気づきを共有できる状態を説明する概念として、近年注目されているのが「心理的安全性」です。

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次回更新は4月20日(月)

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​山口 宰 氏

社会福祉法人光朔会オリンピア 常務理事

1979年神戸市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、スウェーデンで高齢者・障害者福祉を学ぶ。大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(人間科学)。24歳で全国的に前例のない高齢者総合福祉施設を開設し、常務理事として法人を年商19億円規模へ成長させる。神戸国際大学准教授、大阪大学大学院特任准教授を歴任。大学での教育・研究のほか、経営戦略や人材育成のコンサルティングに携わり、国内外での講演・研修は年間50回に及ぶ。

https://ptsukasa.jp/