第6回 リーダーが育つ現場をつくるマネジメント

2026.04.20

これまで、スタッフのやる気は個人の性格だけで決まるものではなく、日々の関わり方や職場のあり方の中で育まれるものであることを見てきました。そして、その"関わり方"や"職場のあり方"を形づくっているのが、現場の介護リーダーの存在です。しかしながら、実情に目を向けると、その育成に頭を悩ませている現場は少なくありません。

そこで今回は、介護現場のリーダー育成のカギである「マネジメント」について、整理しながら考えていきたいと思います。

介護現場におけるマネジメントの現状

ここ数年、セミナーや研修、コンサルティングを通じて、介護分野のマネジメント層の育成や組織づくりに関わる機会が増えてきました。現場でも、マネジメントの重要性は徐々に認識されつつあると感じています。

一方で、現場では依然として「十分な準備がないままリーダーを任される」という状況が続いています。実際に各地の事業所でお話を伺う中でも、この点に悩みを抱えている現場は少なくありません。

背景には、人材の流動性と人手不足があります。介護労働実態調査でも、約5割の事業所が人手不足を感じており、現場は日々の業務で手一杯の状況が続いています。そのため、前任者の退職や配置転換により、十分な教育を受けることなくリーダーや管理職を担うケースがしばしば見られます。

もちろん、現場で経験を積んできたスタッフは、ケアに関しては高い専門性を持っています。スタッフからの質問に的確に答えたり、指導したりすることができるでしょう。日々の書類作成やカンファレンスの進め方についても、マニュアルや前任者からの引き継ぎによって仕事をこなすことは可能です。

しかし、「ケアのプロ=マネジメントのプロ」ではありません。スタッフをどう育てるのか、スタッフの強みをチームの中でどのように生かすのか、チームの力をどうやって引き出すのか。こうしたマネジメントに関する力は、経験だけで自然に身につくものではありません。

ある日突然任命されたリーダーは、当初はやる気に満ちあふれ、先輩リーダーをお手本にスタッフの話を丁寧に聞き、上司からの期待に応えようと努力します。しかし、指示に従わないスタッフへの対応や、マネジメント業務と現場業務のバランスの取り方など、多くのリーダーが壁に直面することになります。

そのときに武器となるのが、マネジメントの知識です。経験や勘に頼るのではなく、データや根拠に基づいた実践が重視されるのと同じように、マネジメントも理論に基づいて実践される必要があります。

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次回更新は5月18日(月)

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​山口 宰 氏

社会福祉法人光朔会オリンピア 常務理事

1979年神戸市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、スウェーデンで高齢者・障害者福祉を学ぶ。大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(人間科学)。24歳で全国的に前例のない高齢者総合福祉施設を開設し、常務理事として法人を年商19億円規模へ成長させる。神戸国際大学准教授、大阪大学大学院特任准教授を歴任。大学での教育・研究のほか、経営戦略や人材育成のコンサルティングに携わり、国内外での講演・研修は年間50回に及ぶ。

https://ptsukasa.jp/