第8回 なぜ介護現場で人が育たないのか―OJTに必要な「教え方の型」

2026.06.15

介護現場において、人材育成は永遠のテーマです。多くの事業所でOJTが行われていますが、「思うように人が育たない」「指導する職員によって教え方が違う」といった悩みも少なくありません。人材不足が深刻化するなか、採用した人材を育て、定着につなげることはますます重要になっています。そこで今回は、人材育成の基本であるOJTに焦点を当てながら、人が育つ職場に欠かせない「教え方の型」について考えてみたいと思います。

介護現場で人が育たない!?

介護現場では、「何度教えても覚えてくれない」「なかなか独り立ちできない」といった声をよく耳にします。しかし、人が育たない原因は本当に新人スタッフの側にあるのでしょうか。

私はこれまで多くの事業所の人材育成に携わってきましたが、その背景にはOJTの進め方に課題があるケースが少なくありません。介護技術を学ぶ機会はあっても、「人の育て方」を学ぶ機会は残念ながら多くないのが現状です。

介護職員として優秀な人が、必ずしも優秀な指導者になれるとは限りません。それにもかかわらず、多くの職場では「経験が長いから」「仕事ができるから」という理由で新人指導を任せています。

その結果、「自分が教わったように教える」「とりあえず先輩について覚えてもらう」「見て覚えてもらう」といった属人的な指導になりがちです。しかし、これでは教える人によって内容や質に差が生まれ、新人スタッフは混乱してしまいます。

人が育たない職場の多くは、教える側の能力が低いからではありません。教える側が、教え方を学ぶ機会を与えられていないのです。

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次回更新は7月21日(月)

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​山口 宰 氏

社会福祉法人光朔会オリンピア 常務理事

1979年神戸市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、スウェーデンで高齢者・障害者福祉を学ぶ。大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(人間科学)。24歳で全国的に前例のない高齢者総合福祉施設を開設し、常務理事として法人を年商19億円規模へ成長させる。神戸国際大学准教授、大阪大学大学院特任准教授を歴任。大学での教育・研究のほか、経営戦略や人材育成のコンサルティングに携わり、国内外での講演・研修は年間50回に及ぶ。

https://ptsukasa.jp/