第10回 スタッフが育つ「1on1」―対話からはじめる人材育成
前回は、介護現場のリーダーに知っておいてほしい「リーダーシップ理論」について紹介しました。リーダーシップというと、「チームを引っ張る」「的確な指示を出す」といった姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、人を育てるリーダーに求められるのは、それだけではありません。スタッフ一人ひとりの声に耳を傾け、本人が考え、気づき、成長していくプロセスを支えることも、リーダーの大切な役割です。
そこで今回は、そのための具体的な方法のひとつである「1on1ミーティング」について考えてみたいと思います。
「仕事の話」はしていても、「本人の話」はできていますか?
介護の現場では、リーダーとスタッフの間で毎日たくさんの会話が交わされています。「○○さんの食事量はどうでしたか?」「今日の入浴介助をお願いします」「この記録を確認しておいてください」。ところが、そのほとんどは「仕事の話」です。
「最近、仕事をしていて、何か感じていることはありますか?」「いま、困っていることはありませんか?」と、スタッフ自身についてゆっくり話す時間は、意外と少ないのではないでしょうか。
特に介護現場はシフト勤務です。「毎日顔を合わせているからコミュニケーションは取れている」と思っていても、実際には業務上必要な会話しかしていなかった、ということも珍しくありません。
だからこそ、意識して「対話する時間」をつくる必要があります。そのための方法が「1on1」です。
次回更新は9月24日(木)
山口 宰 氏
社会福祉法人光朔会オリンピア 常務理事
1979年神戸市生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、スウェーデンで高齢者・障害者福祉を学ぶ。大阪大学大学院博士後期課程修了、博士(人間科学)。24歳で全国的に前例のない高齢者総合福祉施設を開設し、常務理事として法人を年商19億円規模へ成長させる。神戸国際大学准教授、大阪大学大学院特任准教授を歴任。大学での教育・研究のほか、経営戦略や人材育成のコンサルティングに携わり、国内外での講演・研修は年間50回に及ぶ。